宣教地からメリークリスマス! イタリア
留学生に家を開放してクリスマスストーリーを
内村伸之
ミラノ宣教師
私が宣教師として遣わされているミラノ市は、ファッションやインテリアデザイン、建築などの文化トレンド発信地として知られるイタリア北の商工業都市です。外務省による在留邦人数調査統計によると約三千人の日本人が在留届を提出していますが、実態としてはその倍、六千人ほどの日本人が在住していると言われています。
夏のバカンスシーズンが終わり、十月、十一月と秋が深まってゆく中、イタリア人は心の中にクリスマスを描き始めます。街中はイルミネーションで美しく飾られ始め、広場には大きなツリーが置かれます。クリスマスを迎えられることを神様に感謝し、街全体でクリスマスを心待ちにするのです。
盛大でにぎやかなクリスマスになるかと思いがちですが、実際はそうでなく、家の中で家族と一緒に食事をして静かに暖かなクリスマスを過ごします。クリスマス・イブの午前中まで人々は忙しく仕事に出かけ、主婦たちは、ほとんどの店が閉まってしまう夕方までに夜食のための買い物をするため、街中はにぎわい、少し雑然とした印象すらあります。夜になると、街中に出ている人はほぼいなくなり、ひっそりと静まります。皆、家族で一緒に食事をするのです。このため、帰省ラッシュも起こります。
一方、家族のいない者、留学生たちには寂しい時となるため、皆、声を掛け合ってお互いを家に招きあったり、家族に招かれたりして一緒に過ごします。私たち家族も、この日を福音宣教の機会としてとらえ、日本人の留学生たちに家を開放し、食事を共にしながら、本当のクリスマスについて聖書から話し、祈りと賛美を捧げます。
「光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。」(ヨハネ一・五)、このみことばを人々と分かち合い、クリスマスの「良き知らせ」を、自宅を開くことを通して伝えています。神様はこの二年間で十名の受洗者を与えてくださいました。
二十四日深夜から二十五日にかけて、ミラノ市内の大きな教会ではキリストの生誕を祝う深夜の礼拝が行われるので、人々は家族で教会に出かけて行きます。
教会の中には、プレゼピオとよばれるキリスト降誕の場面の模型が飾られています。イエス様がお生まれになった馬小屋や馬槽、模型や人形で表現しているのですが、初め、主人公のイエス様の姿はなく、馬槽の中はからっぽになっています。クリスマスの日に、赤ちゃんイエス様の人形がこのなかに置かれるのです。このように、私たちの救いのためにこの地に降りてこられた神であるイエス様の生誕を思い、感謝を捧げ、みな「ボン・ナターレ(よいクリスマスを!)」と口々に挨拶します。
二十五日も家族で過ごすため、街中はひっそりとし、路線バス・トラム・地下鉄もいつもより本数がぐっと少なくなり、お店も閉まっています。気になるクリスマスケーキのほうは、日本とは異なり、パネットーネというドライフルーツが練りこまれているパン生地のケーキを食べます。この季節になると、あちこちで見かけることができ、いたるところで手に入ります。街中のイルミネーションはクリスマス休暇中から、年明けごろまで街を彩っています。
どうか、イタリアにいる邦人の救いのために、クリスチャンの霊的な成長のために、帰国者が日本の教会でつながっていくように、宣教師の霊性、健康、経済が守られるようお祈りください。