ブック・レビュー 『イマジン』
芸術と信仰を考える
高島 顕
単立ホサナ・キリスト教会牧師
神に似せて造られたアーティストとして
「imagine」ときくと、ジョン・レノンの『イマジン』という曲を思い出します。「イマジン」、それは「何かをイメージする」ことです。人間にとってイメージすることは生きていることの証しです。なぜなら、私たちは、生きているからこそ、神が造られた天と地の万象がいかに魅力的で美しく喜ばしいものなのかを五感を通して感じることができるからです。
神をして「非常によかった」と言わしめた天と地の中でも最高の作品である青く輝く水の惑星を見るとき、神は最高のデザイナーであり、ミュージシャンであり、ライターであり、最高のアーティストではないでしょうか。
そうなら神に似せて造られた私たち人間も、小さなアーティストだと言えます。クリスチャンは、この地上で命のある限り生き生きと生活するべきなのです。
本書は、創造の主が人間に与えてくださった創造する力をどのように活用していけばよいのか、考察しています。
前半には、信徒の芸術活動を阻止しているのは教会、というような、一見すると教会批判ともとれる記述があり、私は少々抵抗を覚えました。クリスチャンが信仰の純粋性を保つことは正しいことであり、聖書には当然、人が守るべき規範があるからです。
しかし、いたずらに現状を「批判」しているわけではありません。むしろ本書は、「すべては(つまり賛美歌とは関係のない歌などの芸術活動も)主の栄光のために」と一貫して主張しているのです。
著者は言います。「神の子どもであるクリスチャンの中にも特別な賜物が与えられている人がいる。彼らは世にあってアーティストとなるべくして生まれている。そんな彼らがキリストにある確かな信仰に立って喜んで表現しているだろうか。そうでなければ本物のクリスチャンアーティストとは言えない」と。
すべてのクリスチャンの基盤となっている神の賜物があることを忘れてはいけません。それは神の愛と真の信仰です。