天国へのずっこけ階段 第2回 チョー・ヨンピルではなく
松本望美
北朝鮮宣教会所属韓国在住
最近日本では韓流ブームだそうで、それは今も続いているようだ。
日本の友人からは、ヨン様のプロマイドを送ってだの、だれそれのCDを買ってきてくれだのと言われることが多かった。頼まれもしないのに、ヨン様のサインをまね、プロマイドに書いて送ったこともある。
教会へ宣教報告に行っても、やはり韓流ブームだった。「韓国語の勉強を始めました」「韓国語の讃美を歌えるようになりました」と言う方が多くなった。交わりの時には「チェ・ジウは、どんな信仰のクリスチャンですか」とか「クォン・サンウは、自分の出演した映画がきっかけでクリスチャンになったそうですが、教会には通っているのでしょうか」などと聞かれる。しかし、私はソウルに住んでいる宣教師なだけで、彼らの信仰生活のことまではわからない……。
ソウルに教会ツアーで来られた方を案内することもあるが、繁華街にある韓流スターグッズの露店には必ず立ち止まり、「これ、○○さんにお土産!」とカレンダーやキーホルダーなどを買う人も多い。「恐るべし韓流……」と驚きつつ、「この写真なんかカッコよくないですか?」などと一緒に選んであげたりもする。でも、内心、「福山雅治のほうがカッコいいのになあ」などと思っている。
韓国の若者からは、日本の芸能人について質問されることが多い。「望美宣教師は、タッキー&翼のどの曲が好きですか」とか聞かれても「ああ、タッキーって『義経』でしょ? なに? 義経、歌出してんの?」というレベルだし、「日本で一番有名な韓国の歌手はだれですか」と聞かれて「う~ん、チョー・ヨンピルじゃないの」と答えて「違います! 今の若い歌手でですよ!」と怒られる。冬ソナすら一度も見たこともない私に、日韓の芸能ネタをふるのは野暮というものだ。
日本でも韓国発のゴスペルが多く歌われている。代表的なのは「君は愛されるため生まれた」である。日本語に訳されたこの曲は、日本のみならず、日本人クリスチャンのいる国ならどこでも歌われるようになったようだ。この曲は、発祥が韓国でも韓流とはいわれない。神様の愛を伝えようとした張本人は、やっぱり神様ご自身なのだ。その神様が「みんな愛されるために生まれた。私が愛する対象として造ったのだからね」というメッセージを世界中に発信している。
韓国の大きな教会で日本のクリスチャンが作った「威光尊厳栄誉」を讃美したところ、反響がよかったそうだ。やはり、神様をほめたたえる歌に国境はない。
さて、韓流のスターたちにもクリスチャンが多いそうだが、天国までおっかけしませぬように。