風色のカレンダー 4 春の庭
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家
ガーデニングがブームになって久しいですが、きれいに手入れされた庭の写真を見ると、我が家の雑然とした庭にため息が出てしまいます。でも、そんなつたない庭にも春の訪れを感じさせる小さな楽しみを見つけることができます。
毎年、真っ先に顔を見せるのがクリスマスローズのつぼみです。地味な花ですが、やさしい雰囲気があって、アレンジによってはとても素敵な表情を見せてくれます。
ハーブの芽も少しずつふくらみはじめます。冬の間かたかったミントの葉っぱも次第にやわらかくなって、心地よい香りを放ってくれます。四季なりイチゴは、何もない冬の庭にかわいらしさを演出してくれます。
私たちの人生にも、いつ終わるとも知れない暗い冬を経験する時があります。しかし、庭の小さな変化を見るたびに、「春の来ない冬はない」と改めて思わされます。長い冬の間、じっと耐えて準備をしてきた花がいっせいに咲き出す春が待ち遠しく感じられる今日このごろです。