風色のカレンダー 5 初めてのケーキつくり
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家
私が初めてケーキを焼いたのは、中学1年の時でした。テキストは、学校の図書館で借りたケーキの本。道具は、今のような電気オーブンレンジもなくガスコンロに乗せて使う、簡単なオーブンと手動の泡立て器でした。それでひたすらメレンゲを作り、温度計もついていないオーブンでケーキを焼いた時の感動は今でも忘れることができません。味は忘れてしまいましたが。
次第に腕が上がってくると、クリスマスや誕生日などのお祝い事、来客があるたびによくケーキを焼きました。粉と卵と砂糖さえあれば、それなりに安くておいしいケーキができたものです。
今は電動の泡立て器もドラッグストアで驚くほど安価で手に入り、オーブンレンジのステップに従ってセットすれば、まず失敗なくフワフワのケーキが焼けるようになりました。でも、何度も失敗して焼いたスポンジケーキの味を思い出すと、やはり手間と愛情をかけ、時間をおしまずに作ったケーキは、ひと味違うような気がしてなりません。※写真の中の花は、シバザクラです。