風色のカレンダー 13 雪の贈り物
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家
雪が降るとわくわくしてきます。空からふわりと降りてきた粉雪を両手で受け止めると、自分が一番に雪を見つけたような気持ちになってしまいます。灰色の空を見上げながら、舞い降りてくる雪が次第に大きくなっていくのを楽しみます。わざと遠回りして雪の中を歩いたり……。
雪がたくさん降り積もった明け方のしんと静まりかえった風景は、いっそう心惹かれます。青白く輝く雪が様々な雑音を吸い取って清らかな静寂を生み出してくれるからです。
雪だるまや雪ウサギを作るのも好きです。忙しくて雪をさわることができなかったある雪の日の夕方のことです。暗くなっても帰って来ない娘を心配して玄関先へ出てみると、ランドセルを背負ったまま真っ赤な顔をして小さな雪だるまを作っていました。
そして、「はい、お母さんにあげるよ」と、その雪だるまを小さな手にのせて差し出してきたのです。雪と一緒に心が溶けるような温かいプレゼントでした。