CD Review ◆ CD評 『FACE TO FACE』
岡 兼次郎
ステージ・トリニティ 代表 /ゴスペルシンガー森 祐理 マネージャー
「ヤベツの祈り」から生まれた3人の祈りのサウンド
皆さんは、聴いているうちに祈り出してしまうようなCDに出会った経験がおありでしょうか? 私は、仕事柄様々なジャンルの楽曲を聴きます。とりわけクリスチャンアーティストが祈りと賛美を込めてつくったアルバムは何とすばらしいでしょう。今私は、思わず祈り始めてしまうようなCDと出会わせて下さったことを神様に感謝しています。昨年の秋だったでしょうか。私の友人が、興奮した声で電話をかけてきました。「知ってるかい? 全米でもベストセラーになっている本が、日本でも出版されて大ブームになっているんだよ。『ヤベツの祈り』って本で、これがまたすごい本なんだ。クリスチャン生活の基本が変ってしまうほどなんだよ。」ヤベツ? 誰それ? 私はその名前さえ覚えていませんでした。友人から説明を聞いた後でさえ、「クリスチャンが、まず自分の祝福を求めるなんてことは、自己中心的な人のやることさ!」と考えていました。
しかし月日が過ぎ、周囲でこの祈りをする人が次第に増えてきました。今年の新年聖会のテーマも「ヤベツの祈り」。まるで神様は、「これでもか!」と言わんばかりに「このように祈ってごらん」と語って下さいました。
しかし、それでも受け入れようとしない強情者の私への最終パンチが、同書からインスパイアされて制作したというCD『フェイス トゥ フェイス』でした。私がマネージャーをしている森祐理のアルバムのアレンジも手掛けて下さった岩本正樹さんと、奥様でゴスペルシンガーの国分友里惠さん、そしてサックスの齋藤昇さんという一般の音楽界でも第一線で活躍している三人による、すばらしいインスピレイショナル・アルバムです。
神様は「ヤベツの祈り」を通して特別の導きと楽曲を、彼らに与えて下さったのだと感じます。曲づくりの素晴らしさ、訴えるようなボーカル、澄み切った音色でありながらとても優しいサックスの響き……。その音色に引き込まれているうちに、いつのまにか私は、「主よ。私を祝福してください」と祈っている自分自身に気付いたのでした。