ファインダーから見た情景 3 名字を気にしてみると……
秋山雄一
フォトグラファー
先日、知人のパーティーにお呼ばれをしたときに、日本の近代史研究家という方にお会いしたのですが、お話を聞いていると名前の由来って素敵だなぁとつくづく感じました。
私の名字は「秋山」ですが、その由来を少し聞いてみると……。
「『あき』は大和言葉で鮮やかさのことです。おそらく稲穂の垂れる輝かしい山があるところなんかから来ているんですよ」
「いなかは新潟です。でも、オータム(季節)の秋は?」
「これは漢字を当てただけです」
「母方の名字は清水なんですが……」
「水の源を管理していたと考えられます。その水を流すことで水道料を管理してたのが関口さん(関所)、水を細配分したのが樋口さん(とい)です」
「いなかは滋賀の彦根(琵琶湖)なんです」
江戸時代まで名字がなかったのではなく、名字を公にしなかっただけで、一般大衆も持っていたそうです。名字から自分のアイデンティティーを導くこともできるんですね。
日本では見ることは少なくなりましたが、朝市などで買い物するときに、値引き交渉だけでなく、名前や屋号を聞きたくなってきます。
お花を売っている方の歴史、野菜を売っている方の歴史。今日偶然出会った方には、きっと素敵な名前と歴史があるのではないかと……。