ブック・レビュー 『祭壇の火は燃え続けさせよ』
レビ記に見る神の聖さ
内山茂生
日本福音キリスト教会連合・神栖めぐみキリスト教会牧師
聖い神との交わりを回復することにより、この世の苦悩が解決する
レビ記は、儀式や礼拝の規定の細則があり、難しく感じてしまうかもしれません。しかし著者は、旧約の学者としての確かな釈義と深い洞察力、また牧会者として心の根底に届くメッセージをわかりやすく語っています。レビ記のテーマは「聖さ」であり、聖なる神の民として生きていくためにどうしたらよいのかということです。今日、教会に世俗化の波が押し寄せています。癒しを求める時代と言われる今、多くの悲しみや苦しむ人々の根底にある問題は何か、著者はそこに潜む人間の自己中心性を指摘し、罪の解決こそが必要であり、聖い神との交わりを回復することによって、この世の苦悩が解決されるのだと語っています。
しかし、「現代の教会はこの神の聖さの理解が乏しい……私たちは、教会に聖書の時代の聖さを取り戻さなければなりません」と警告しています。この問題を曖昧にし、その場しのぎの応急処置でやりすごしているのではないか、何よりも神による外科的手術が必要なのだと。それはまさに「祭壇の火を燃え続けさせよ」ということです。もしも聖さが保たれなくなってくるという危機の時には、神のみことばのため、キリストが血をもって買い取られた尊い教会を守るため、真理のために戦う必要があるのだとも教えています。
これは病の中、命の限界のギリギリの時に、レビ記が出版されることを願ったという著者の、私たちへの遺言ともとれるように思います。そしてレビ記で「命じられたとおりに従う」と教えていることは決して厳しすぎるものではなく、罪ある私たちと心から交わりたいと願う父なる神の熱心が、儀礼の背後にあったと神の深い愛を伝えています。
私たちは、終わりの時代にあって、このメッセージを真摯に受け止め、神の民として真の人生を力強く生きていきたいと思います。
個人はもとより、教会での学び会で、各世代の集会で、広く用いられることをお奨めいたします。