ウツと上手につき合うには 第5回 きちんと休んでいますか?


斎藤登志子

あなたが最近、きちんと休息のときをもったのはいつのことでしょうか。自問してみましょう。一週間前ですか、一か月前ですか、それとも思い出せないほど前のことでしょうか。

ウツになるような人は「仕事が趣味」というような人が多いので、おそらくろくに休みもとらずに働きづめなのではないかと思われます。

ウツを発症する前は働きすぎてストレスが過剰になっていることが多いのです。ですからきちんと休むということは、非常に大切なことです。

ウツに陥りそうだなと感じたときに私が真っ先にすることは眠ることです。軽いときならば、少し眠っただけで気分が上向くこともあります。

ウツと上手につき合うには 第6回 がんばっていませんか

聖書の中に、預言者エリヤがうつ状態に陥ったときの記事があります。バアルの預言者たちとの戦いで大勝利をおさめた後、イゼベルに命を狙われていると知ったエリヤは、自分の死を願うようになります(Ⅰ列王一九章)。そのとき、神が御使いを通してエリヤにされたことは、人を避けて十分な睡眠と栄養を与え、ゆっくり休ませたことでした。驚くべきことに、これは薬こそ使っていませんが、現代のうつ病の治療となんら変わりありません。

休むことは聖書の中で奨励されています。

神様は天地万物を創造された後、休まれました(創世二・二)。また、十戒の中でも安息日を定めて、その日はどんな仕事もしてはいけないと、休むことを命じておられます(出エジプト二〇・八・一一)。

一度、自分のスケジュールを見直して、一日の中に、一週間の中に、さらには一か月、一年という単位の中に「休む」時を作るようにしましょう。

まずは十分な睡眠をとることから始めましょう。どうもやる気がでない、一生懸命になれないという落ち込みが、過労と睡眠不足に起因するということもしばしばあるのです。

そして、自分にあった気分転換、休息のとり方を工夫してみましょう。

音楽や美術、映画鑑賞のほか、友達と食事をしながらおしゃべりするのもいいでしょう。スポーツをして汗を流すのもいいでしょうし、そこまでいかなくても緑の中を歩くだけでもいい気分転換になります。

ところで、仕事や学校のある人は、オンとオフの切り替えがしやすいですが、問題は主婦です。

主婦業には休みがありませんが、私はあえて主婦にも休業日を作ることを提案したいと思います。

週に一日は無理でも、一か月に一日くらいはまったく家事をしなくていい日を作りましょう。その日は家族に家事を頼んで、家から離れてゆっくり羽をのばすのです。

うちの子は、あるいはうちの主人は何もしない、と嘆く人がいますが、実はそういう人は家族に家事をやらせていないのです。

家族が家事をするようになるためには、三つの「お」が必要です。その三つとは、「教える」「おだてる」「おこづかい」です。

家事はまず教えなければできません。主婦の休業日を作るために、今日から家族に家事を教えましょう。そして、やってもらったらどんなに下手でもほめましょう。子どもにはおこづかいやごほうびの品をあげるといいでしょう。そして最後に「ありがとう、また頼むわね」の一言を忘れないように。

ときには立ち止まろう

人生、いつも前向きとはいきません。
疲れたり、壁にぶつかったりしてうつむくときもあります。
人生、いつも前進とはいきません。
病気になったり、学校をやめたり、失業したり、
ときには立ち止まることも必要です。動くのをやめて、ちょっと考えてみましょう。
わたしはなんのためにこんなに働いてきたのでしょうか。
自分に問いかけるときも必要でしょう。

なんにもしないことも大切なことです。
天井だけ見つめて、自分の歩みをじっくりふりかえってみましょう。

人生の軌道修正をするときかもしれません。

(『傷つきやすいあなたへ』木村藍 著、文芸社より)

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