大橋由享
イエス・キリスト ファミリー教会牧師

親子で観てほしい！
最新ＣＧアニメーションで描くモーセ物語

　モーセの生涯を映像化した作品を２作続けてご紹介してきた。今回ご紹介するのは、『十戒 エピック・ストーリー』。美しいＣＧアニメーション作品である。

　モーセ物語は壮大なシーンが多い。前２作は苦労して作り上げていたが、そこはＣＧアニメーションの強み。壮大なパロの宮殿、見上げるような建造物、蟻のように働く奴隷たちの群れを、望遠レンズをのぞくような広がりを持たせて描いている。見事！

　この原稿を書き上げるために、メモを取りつつＤＶＤを見始めたのだが、いつの間にか小学２年生の末娘がやってきて、私の横にちょこんと座った。

　子どもは黙って観てはいない。いちいち反応する。「あ、これ知ってる！　王女さまに拾われるんだよね」。「モーセがいない間に、人形（金の子牛）を作るんだよね。なんであんなの作ったんだろう？」。

　モーセ物語が、すでにしっかりと根付いていることを喜びつつ、教会学校の先生たちに感謝！　なるべくわかりやすいことばで、説明していく。

　前２作は、人間モーセの苦悩と葛藤を丹念に描いていたが、本作は、その部分の描写は少なめ。マッチョなモーセ（登場人物のほとんどが筋肉隆々なのが面白い）は、悩みつつも、神を信頼して力強く進んでいく。

　しかし、イスラエルの民の反抗はリアルに描かれている。娘も思わずひとこと。「わがままだよね……」。強情な民の先頭に立つモーセの苦労は、子どもにも十分に伝わる。

　娘が思わず歓声を上げたのは、葦の海を渡るシーン。海の真ん中にできた道を、大急ぎで進むイスラエルの民。しかし、何人かの子どもたちが、思わず足を止めた。ゆらゆらとそそり立つ海水の壁の向こうに、悠然と泳ぐイルカやウミガメが見えたのだ。その姿に見とれる子どもたちは、まるで水族館の見学をしているようだ。

　その他にも、モーセが岩を打ち、水が噴き出るシーン、石板に十戒が刻まれるシーンなどは、ＣＧアニメーションでなければ描けないスケールの大きさと美しさである。

　この作品、ぜひ親子で観ていただきたいと思う。小さな子どもからは、たくさんの「なぜ？」が発せられるだろう。丹念に答えてあげてほしい。また、教会学校のみんなで観るのもお勧め。高学年なら、この作品をもとにディスカッションをすることもできるだろう。