ずっこけ宣教道 第2回 モンゴル篇
松本望美
北朝鮮宣教会所属
飛行機の窓から見える景色は、その国の代名詞ともいえる一面が草原だった。
夏のモンゴル、ウランバートル。
そこで、日本から派遣されている女性宣教師四人とお会いすることになっていた。スーツケースの中には、日本食をぎっしり詰めてやってきた。
宣教師の皆様とともに、ウランバートルから車で二時間ぐらい走った草原まで行き、そこのゲルに一泊することに。
絵に描いたような光景。草原のあちこちにゲルがぽつんぽつんとあり、羊が遊牧され、雄大な山をバックに馬が戯れている。
「馬に乗りませんか?」とお誘いを受けたが、「乗ったことがありません」、「大丈夫!」と乗ることに。
「怖い怖い……」とビビる私に対し、宣教師の皆様、さっそうと馬を走らせ、なんと川まで渡っている。なんとも男前な宣教師たちだ(ちなみにみんな独身なのでよろしく)。
夜になれば、あたりは真っ暗。五十メートル先にトイレはあったが、「ここらへんでしちゃえばいいよ」とおっしゃる。ゲルの中では修学旅行のように盛り上がったが、「あ、私ちょっと行ってきます」と懐中電灯を持って出かければ、さすが日本人、「帰ってきたら、次、私」と空気を読む。
外から帰ってきた一人が「満天の星ですよ!」と言うので、みんなでゲルから出てみれば、ああ、プラネタリウムのような一面のきらめき。
近くのゲルでは、楽しそうな話声が聞こえてくる。
「そうそう、モンゴルでは『恋の季節』がヒットしたんだよね」ということで、ある宣教師と私で歌ってみた。
「忘れられないの~」とうなる。すると、周りのゲルからの声が消えた。知っている曲が聞こえてきたが、モンゴル語ではないらしい……ということで耳を傾けているのだろう。
次の日、ちっと離れたお隣のゲルにお邪魔した。モンゴルのカザフ族だという。最初はお菓子など頂いていたのだが、導きの波に乗るがごとく、伝道が始まった。
モンゴル語の聖書を開き、現地の宣教師の皆様がモンゴル語で話されている。カザフ族の奥さんも言われるまま聖書箇所を読んだりして、耳を傾けている。
雄大な草原の中の小さなゲルの中で、神様の魂への情熱が注がれていたのだ。私は、同じ日本人宣教師の宣教の現場に立ち会えて、大きく励まされた。
次の日、モンゴル人男性と結婚されて、モンゴル在住の日本人女性Yさんのお宅にみんなでお邪魔した。ご近所のゲルを訪問したとき、そのモンゴルのおじさんにクイズが出された。
「私たちみんな日本人ですが、実はこの中にブリヤート共和国から来た人が一人交じっています。誰でしょう?」おじさん、迷わず速攻で私を指さしたのだった……。