ブック・レビュー 『まんが聖書入門』

『まんが聖書入門』
丸山 告
hi-b.a.(高校生聖書伝道協会)スタッフ

充分に聖書の世界を広げ、掘り下げてくれる重厚感のある、あなどれない一冊

 本書のタイトルは『まんが聖書入門』である。しかし、「入門」「まんが」ということで手にしてみると驚くに違いない。図解入り、イラスト入りで描かれているものの、その内容は重厚感のある、あなどれない代物だ。

 意欲のある少年が、聖書学校に入学するところから始まるが、非常に学ぶ量が多い学校である。ほとんどの神学校では授業の進むスピードが速く、膨大な宿題が学生を苦しめる。それによって旧新約六十六巻は生涯学び続けるものだと気づかされる。同等に、本書はこの一冊で充分に聖書の世界を広げ、また掘り下げてくれるものである。

 まんがで聖書の世界を目で追うことができると同時に、ふつうに読み進めるだけではわからない、イスラエル王国史や系図まで、ていねいに解説している。

 そして聖書の用語解説があることもありがたい。分かっているようで、説明を求められると答えにくい用語が、短い文章でまとめられている。

 さらに、アブラハムの系図や預言者の活躍も一覧にされることで新たな発見があるからおもしろい。

 また、聖書のわかりにくい事柄として、時代や風土が異なるがために予備知識が必要になるということがある。それに対して、本書は地理的背景やビジュアル聖書百科のような手助けもしてくれることを付け加えておく。

 学びが終了すると確認のために試験があるので、必然的に復習することを迫られる。計四回。最後には卒業証書まで見開きで本書に用意されている。まるで本物の学校である。

 事細かな解説も多いので、聖書を全く読んだことのない人には難しい。しかし、冒頭の少年のように自分で学びたい人の一助になることは間違いない。

 もし、本書を教会の信徒が一通り理解していたならば、教会学校の奉仕、個人伝道など教会の働きの助けとなりうる。また神学生がこの本を一冊理解していたら、それはもう立派な学生である。