カラー新聖書ガイドブック “今からわくわくしています”
佐藤 彰
保守バプテスト同盟・ 福島第一聖書バプテスト教会 牧師
約四十年の歳月を経て
一九七三年出版の『カラー聖書ガイドブック』は、三十九年間でなんと三百万部を売り上げ、二十八の言語に翻訳され、世界中で出版されてきました。聖書ガイドブックとして、こんなにも長い間世界の人に読み継がれ、いわば確固たる地位を確保してきたこの一書が、今回なんと二十%もの大幅バージョンアップで、装いも新たに次の時代の必要に応えようと最終準備段階に入っています。そういえば一九七三年当時私も、この本が出版されるとすぐに購入。そしてそれは今なお変わらずに私の書棚のそば近くで、定位置を確保しています。あれから約四十年。年々書籍は増え、随分整理しお蔵入りになった本もありました。けれどもこの一冊は、変わらずに今も私の手の届くところにあります。
聖書のガイドが本文
ところで今回の二十%の内容大幅増量は目まぐるしく変わる時代を意識して、その必要に応えようとした結果です。現代社会の複雑で様々な問題を抱える様相に、聖書の光をあてようとしています。たとえば「多様な宗教の中で」「女性の役割」の項目、信頼できる聖書の解釈に立ちながら、そのすぐ向こうで生きている現代の人々の必要に何とか応えようとする、あつい志が随所に見受けられます。とは言うものの、もちろん今回もメインのスタンスは言うまでもなく聖書そのもののガイドです。「旧約聖書」は序論からスタート、「五書」「イスラエルの歴史」そして「詩と知恵」「預言者」へと続きます。「新約聖書」は、「福音書と使徒の働き」と「手紙」の大きく二つに分け、各書から各章ごとへ、そして段落ごとにポイントを押さえたわかりやすい解説へと進みます。聖書六十六巻の概説を入口に全体から各論へ入ってゆく、いわゆるパラシュート学習法で、木を見て森を見ずの迷い道に入りこむこともなく、重厚な聖書のガイドブックとして、定評ある安心してガイド役を任せられる構成となっています。もちろん今回も折々に配置されている「定住生活」や「エペソ市」などのスポットも、適度の分量で散りばめられてほっと一息、もちろん勉強にもなります。
「聖書入門」も魅力
ところで旧約聖書から新約聖書までの解説に入る前に「聖書入門」のステージがあり興味をそそります。ここでは「聖書とは」や「聖書を読むことの初心者向きの入口」から始まって、聖書時代の動物や植物などに触れる「聖書の舞台」、さらに聖書の信頼性を担保することにつながる「聖書の正典性」とか「翻訳の問題」それに「口伝の信憑性」といった相当に専門性のある分野にまで踏み込んでいます。加えて「現代的な視点から科学者が見た聖書」、また「女性たちから見た聖書」もユニークです。いずれにしてもこの聖書入門は、これだけで第二部の聖書そのものの解説にも匹敵する内容とボリュームを抱えています。幅広くテーマを取り上げ、折々に掘り下げ、論じ、縦横無尽に話題を提供しています。その際注目は、極力キリスト教専門用語を避け、聖書になじみのない人にも届こうとしている点です。取っつきやすく好感が持てます。この点で今回の改訂版は聖書入門にもおすすめですし、もちろん聖書の深い学びを旨とする、重厚で、お買い得感あるすぐれものと言えましょう。一つ残念とすれば、今私の手元には、発行前のため肝心の現物はなく、図表や写真が空白のままのゲラ刷り原稿があるのみで、いまだ随所に最新カラー版一世紀のエルサレムとか、聖書に登場する動物や鳥たちなどの写真図表が入った新装改訂版の実物を手にしていないことです。二十五年前カラーで聖書の世界をガイドする解説書として着目されたあの良書が、今回果たしてどのような表情で新たな時代に切り込もうとするのか、ゲラ刷り段階で並々ならぬ渾身の意気込みを感じてしまった私は、今からわくわくせざるを得ない状況に追い込まれています。