クリスマス特集
大切な人へカードをそえて贈りたい本 **『ルカのクリスマスケーキ』**
ひとりぼっちの心に届いた優しさのクリスマスケーキ
内村まり子
ミラノ賛美教会 オルガニスト・チェンバリスト
心に優しさが灯るような絵本なんです。絵本全体があたたかい色合いに包まれていて、ページを開いて読み進んでいくうちに、動物たちの愛らしい表情に触れられて、自然と心が緩んで、顔も緩んでしまいます。
村人たちのために心をこめて作ったクリスマスケーキが見当たらなくなって困ったケーキ屋さんのルカ。捜しているうちに、犯人の大熊オタにつかまってしまいます。けれど、ルカの優しさに触れたオタは、ひとりぼっちだった寂しさゆえにケーキを盗んだことを告白して、あやまります。そして……。
このお話を読んでいると、なんだか心がふつふつと温かくなって、元気がでてくるのです。
私の絵本好きは、母や姉の影響だと思います。子どもの頃から絵本を与えられていました。
ルカの優しさと愛情が、イエス様の愛を思わせ、その愛に触れられたときに、オタが変えられたように、心開かれ、神と人を愛する人へと変えられていく。絵本を読みながら、イエス様の愛のあたたかさを思い出さずにはいられませんでした。
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子どもの頃だけでなく、大人になってからも絵の表情や印象は、色どり豊かに私に語りかけてくれます。
この絵本をイタリア・ミラノの本屋さんのショーウィンドーで見つけたとき、ろうそくが灯っているように、あたたかなものが伝わってきました。さっそく手にとって読み進めてみると、心が優しくなって、この絵本を贈りたい人たちの顔が次々に、思い浮かばされてきたのです。
普段遠く離れて住んでいる父母たち。姉たち。本の大好きな甥っ子のしおん君。なかなか思うように連絡をとれていないながらも、いつも思い出される祖母。私の心に種を蒔いてくれた、お世話になった師。私たち夫婦が働くミラノ賛美教会から日本に戻られ、今も私たち夫婦を祈り、支えてくださっているご夫婦、ファミリー……。
主人の姉が絵本の編集・翻訳の仕事をしていたので、ぜひ、この本を日本語の絵本として紹介できたら……と話していくうちに、二〇〇五年、この『ルカのクリスマスケーキ』が日本語の絵本として出版されました。
大切な子どもたちへ、親たちへ、ご家族へ、愛する方へ、動物好きな方へ、日本中のあらゆる方に、この本を通して「愛」が伝わっていくことを願っています。
「神は愛なり」
(第一ヨハネ四章一六節)
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おまけに、この本の終わりにはルカのケーキのレシピが載っています。素朴なチョコレートケーキで、簡単に作れます。我が家ではクリスマスに問わず、お誕生日などにも作り、可愛らしいケーキと評判です。(お誕生日にルカのケーキを焼きつつ、絵本を贈るのも素敵です)