踊りをもって御名を賛美せよ 第4回 賛美フラの不思議な力
中野めいこ
1944年東京三鷹生まれ。東京聖書学院、CEF伝道学院にて学ぶ。1965年、中野雄一郎牧師と結婚。3女1男、孫7人。日本とハワイの教会で奉仕後、1996年夫と共に巡回伝道者として再出発。現在、賛美フラミニストリー代表として賛美の祝福を伝えるために尽力。
「こころくじけて思い悩み……」と歌いはじめる、「一羽のすずめに」という賛美をご存じのことと思います。
私がはじめて日本語でゴスペルフラ(といっても、そのときは手話のようで、ステップのないものでしたが)を踊ったのがこの曲です。
この踊りは、一羽の雀に目をそそぎたもう……と踊るときに、両手を肩に持っていってから横に伸ばし、雀の羽を作るところがあります。
ひとりの女性がこの練習ビデオを見ていました。
彼女は、離婚されて心神喪失状態で、何度も自殺を試みていました。心配した友人が、このビデオを観るように勧めたのです。何回もボーっと画面を見つめていると、羽を表現する(両手を肩に置く)ところに来たときに、突然「イエスさまが肩に触れてくださった」と感じたのです。その女性は一瞬にしてうつ状態から癒され、イエス様を救い主として受け入れました。本当に一瞬にして癒されたというのです。
この話を聞いたとき、はじめはびっくりしました。たまたまそんなことがあったのだと思おうとしました。しかし、そのようなことは次々と起こりました。誰かが説明したのでもなければ、説得したのでもないのに踊りを見ている間に何かが起こる。これは、神様が「賛美フラ」をお使いくださっているという確信となりました。
それは、上手な人が踊るときならわかりますが、あまり上手でない人が踊っても同じように不思議なことが起こるのです。みんなで集まるたびに、こんなことがあったと、証し会になるほどでした。
それは踊りを見ている人だけでなく、踊っている人々にも起こりました。
難病の宣告を受け、治る見込みもなければ、余命いくばくもないと言われた方が、踊っているうちに癒され、それから十数年、お元気に活動を続けておられます。七十歳を超えた今もクラスを指導しておられます。膠原病とリューマチの痛みで一年の大半を寝て過ごしている方がいました。ハワイが好きだからフラをやってみたいということで、ワークショップに来られたのでした。
「賛美フラ」をはじめてから、毎日寝て過ごす日々から毎日踊って過ごす日々に変えられました。
病の数値は変わっていません。でも確かに、病気持ちでずっと寝てばかりいたとは信じられないくらい元気に活躍しておられます。昔の彼女を知っている人は、誰でもびっくりします。「賛美フラ」には、癒しの力があります。
フラは手の動きが言葉になっているのです。顔の表情もメッセージを伝えます。普通の踊りと違うのは、イメージで踊るのではなく、言葉そのものを踊っているところです。耳から入る言葉と手の振りで表す言葉が一つになるので、メッセージが倍の力で届くのではないでしょうか。
説教の場合、もちろん顔や手の動きがありますが、受け取る方に、説教されている、説得させられるのではないかとの構えがあります。でも踊りの場合は、多分そのような構えがないので、メッセージがストレートに入っていくのだと考えられます。それが、「賛美」なのですからなおさらのことです。
踊る者も言葉を理解し、体験し、それを表現できないと本当には踊れないのです。踊り手は溢れ出る愛と喜び、心からの主への礼拝と賛美を体験しながら踊るのです。