ブック・レビュー 『ゴスペルってなんだ』

ゴスペルってなんだ
小平 牧生
ニュー・コミュニティ 主任牧師

本当の居場所と愛の交わりを求めて

 日頃チームを組んで教会に仕えている愛する藤井牧師と、NPO法人ジェイズマスクワイア代表のJAYE公山氏の対談集が、発売されました。これは、ゴスペルにはまっている人間にとってはたまらないトーク集でしょう。私も一読して、話のスピード(飛び方?)のすさまじさ、パワフルというか荒っぽいというか表現のきわどさ、まさに関西型バトルトーク! 手に汗握りました。しかし読む人に感動を与え、最初から最後まで彼らのコンサートそのままの心温まる雰囲気をただよわせています。うーん、さすが今、関西のゴスペルをひっぱっている二人だなあとうなりました。

 さて本書は、教会には行ったことがないけれどもゴスペルに興味を持っている多くの人々に読んでほしい本です。しかし同時に、私はクリスチャンの皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思っています。

 というのは、「まえがき」に記されているように、本書は「ゴスペル・コミュニティの記録」です。どの教会にもすばらしいゴスペルが与えられています。そしてたえずゴスペルを伝えています。ところがそのゴスペルを受け入れた人が、ゴスペルのコミュニティである教会につながらないことが多いのです。これは現在の教会の大きな課題です。本来、ゴスペルとは私たちを、かしらであるキリストとそのからだである教会の両方に生きた交わりを与えるものなのです。

 この本に記されているのは、ゴスペルは私たちに生きたコミュニティを回復させるという確信に立った実践とその証しです。そこには涙と笑い、また触れ合いや擦れ合いがあります。ゴスペルブームは、深い関係を避けると言われる現代人が、実は自分の本当の居場所と愛の交わりを求めていることを示していることがわかります。

 「教会こそ、神がすべての人々の回復のために備えられたコミュニティである。」その固い確信に立って、刺激的で汗くさい本書を心から推薦します。