ブック・レビュー 手のひらサイズのコンパクトな聖書絵本
三谷和司
神木イエス・キリスト教会牧師
この本は、旧約聖書、新約聖書の代表的な出来事が、全四十話、コンパクトにまとめられた絵本です。
一つひとつのお話が、絵と文の見開き一ページで完結しており、文はひらがなを中心に書かれています。ですから、お子さん一人でも読むことができますし、寝る前に、親が子どもに読み聞かせてあげるのにもいいでしょう。また、教会学校やキリスト教系の幼稚園の先生が、子どもたちに読み聞かせたり、素話をしたりするのにも活用されることでしょう。幼い頃に触れるものは、人生に大きな影響を与えます。この絵本の絵は表情がとても明るく、人を良き者として造られた神の愛が伝わってきます。神を怖い方ではなく、愛の方だとイメージできることはとても重要です。
さて、私は、この絵本を読みながら、これは子どもだけでなく、聖書を読みたいのに、難しくてどう読んだらいいか分からない……そんな悩みを持った方にも、役立つのではないかと思いました。救われたばかりのクリスチャンはもちろんのこと、クリスチャンになってから年数は経っているのに、今さら、恥ずかしくてよく分からない聖書の話について聞けない……そう思ってあきらめている方も、この絵本を読んでから聖書を開くと、概要がつかめて、分かりやすく読めることでしょう。
一つひとつの話の結びには、聖書のどの箇所を要約したものであるかも書かれていますので、簡単に聖書箇所を開くことができます。また、サイズは手のひらサイズと小さく、良心的な価格ですので、一冊持っていれば大変役に立つと思います。
聖書に記されている記事は、単なる出来事の記録ではありません。一つひとつに深い意味があり、神の愛が込められています。そして、その神の言葉に込められた愛が、私たちの心の糧になります。
ですから、私たちは日々聖書に親しみ、神の言葉で心を満たせればいいのですが、実際には、日曜日以外は部屋の片隅に聖書を置いたままという人も多いのではないでしょうか。そうならないためにも、この絵本が、聖書を開くきっかけとなれば幸いです。
『ポケット せいしょものがたり』
ハンナ・ウッド 絵
結城絵美子 訳
A6判 420 円
いのちのことば社