親子で読みたい不朽の名作 ◆「読んで読んで!」と、子どもを魅了する
玉井知栄子
カンバーランド長老キリスト教会 海老名シオンの丘教会
カンバーランド長老キリスト教会 海老名シオンの丘教会 玉井知栄子米国において七十年以上前に出版され、時代を超えて読み継がれ、ロングセラーになった聖書物語の名作です。日本では『母と子の聖書』(旧題)の名で刊行され、長い間絶版となっていましたが、装いも新たに復刊されました。
ためしに毎晩、わが家の子どもたちに読み聞かせてみました。九歳の女の子と五歳の男の子。二人とも、親がすすめたものでも、「つまんない」と感じた場合、簡単にはのってこない正直な人たち(?)ですが、結果は―二人ともすぐに物語に引き込まれ、「読んで読んで! 今日はどんな話?」と楽しみに待つようになりました。読み終わっても「もっと!」とせがまれます。「次が楽しみで、気になって仕方がないの」と言います。子どもの心をここまでしっかりつかんで離さない、このような聖書物語に、いままで会ったことはありませんでした。
この聖書物語は、百年以上も前に、著者自身がまず、自分の母親に語ってもらい、自分の娘にも語りついだものだそうです。聖書の真理に忠実でありながら、実にほどよい脚色がなされ、分かりやすく、生き生きとして魅力的だと感じます。語り口はあたたかく、どうにかして福音を届けたいという、母親の情熱と愛情にあふれています。一人の母親としても、読んでいると、その優しさを分けてもらっているようで心地よく、毎日読みたくなるのです。
しかも、聖書全体の流れを丁寧につづった大作。三冊全部を読み終えたとき、子どもたちの心に、どれほど豊かな聖書の世界が形作られているだろうかとわくわくします。また、一緒に聖書を楽しんだ時間はきっと、親にも子にも、幸せな記憶となるでしょう。
終わってみればあっという間、と言われる子ども時代。子どもの心に小さな石をつむように、人生の土台となる聖書のことばを届けたい―その助けとなってくれる、この宝石のような本に出会えて幸いでした。小さな子どものいるご家庭はもちろん、自分で読む年代の中高生や青年、聖書入門中の方、教会学校教師……実に広範の方々にとっての大切な書となることでしょう。心の底からおすすめします。
『親と子の聖書』 A5判 各2,100円
キャスリン・ヴォス著
旧約1,2:有賀英子 訳 新約:深江真智子訳
◆全3巻 6,300円【年内特価5,890円】