ティンデル聖書注解シリーズ、完結
春の限定復刊&リパブックス企画も始動! ◆侍のように、格闘しながら……
山口昇
聖書学者・引退牧師
ティンデル聖書注解シリーズの刊行は二〇〇四年八月一日に、R・アラン・コール著『マルコの福音書』が出版されることによって、幕が切って落とされました。
最初に刊行された『マルコの福音書』の翻訳者として、私はいのちのことば社出版部から委嘱されました。
理由はよくわかりませんが、多分私がそれまで「百万人の福音」の記事を書くようにしばしば依頼されていたり、単行本の翻訳をしたりして、長いお付き合いがあったからではないかと思います。また、私は神学校を卒業後、横浜の山手にあった、明治以来約百年の歴史を持つ、日本で唯一の女性だけの神学校である共立女子聖書学院で、新約聖書を長い間教え、東京の聖書神学舎でも非常勤講師として新約学を教えていましたので、翻訳者の一人として選ばれたのだと思います。
その後、私は聖書を学ぶ上で大切なことは、聖書の舞台であるイスラエルの地を実体験することだと気づき、イスラエルにある聖地研究所で聖書地理を学びました。そこでの学びは、ティンデル聖書注解の翻訳と監修、特に「四福音書」「使徒の働き」や「パウロ書簡」、そして、「ヨハネの黙示録」の翻訳と監修で大変役立ちました。
監修で大切なことは、翻訳に誤りがないか、同じ行やパラグラフの重複、あるいは脱落がないか調べるということです。原書の上に建築家が製図をするために使う、断面が三角形になっている定規を置いて、一行ずつずらしてそれらを確認していきました。また、一日の作業が終わったときには、鉛筆でそこにしるしをつけ、翌日作業を始めるときの目印にしました。
ほかの人が訳したものの場合も同様に、訳稿の上に定規を置き、原書と訳稿の文章を照合しながら、誤訳や脱落がないか、綿密に調べなければならないので、七十代から八十代前半の監修者にとっては、困難な作業でした。特に夏の季節には、クーラーを用いながら、汗が目に入らないようにヘアバンドで鉢巻きをし、果たし合いをしている侍のような気持ちでした。
『マルコの福音書』の翻訳と監修から、すでに十年が経ちました。最後に残ったレオン・モリス著『ルカの福音書』の注解が出版されるのは二〇一四年二月と聞いておりますので、全四十八巻の出版にかかった時間は、約九年と六か月になります。私自身は『マタイの福音書』『マルコの福音書』『民数記』の翻訳、新約聖書のその他の書の監修を終え、満八十五歳になりました。あとは読者の皆さんが、ティンデル聖書注解シリーズ全巻をそろえてくださり、ご自身の聖書の学びや説教の準備、霊的な静まりのときのために、大いに活用してくださるよう願っております。
*今年2月、全48巻完結!
全巻セット 本体168,900円+税のところ
限定特価 本体156,000円+税
旧約聖書28巻
新約聖書20巻
翻訳監修者
遠藤嘉信、鞭木由行、山口昇、富井悠夫
各A5判 2段縦組み 上製
※こちらはキリスト教書店のみ、数量限定の取り扱いで、4月下旬のお届けです。
うち22冊は、リパブックス(ソフトカバー)仕様となります。