ティンデル聖書注解シリーズ、完結
春の限定復刊&リパブックス企画も始動! ◆歴史的、地理的背景を知るために

浜野淳
桃山学院中学校高等学校・司書教諭/福音交友会 岸和田北聖書教会員

桃山学院中学校高等学校(St. Andrew’s School)の図書館では、注解書は主に宗教科の先生の教材研究のために、時には宗教科の課題レポートを作成する生徒に用いられます。
「ティンデル聖書注解シリーズ」は、全巻にわたり、聖書の節(または段落)ごとに解説しているので、聖書の知識を持つ高校生ならば、特定の聖書箇所を調べるための「辞書」としてこの本を用いても、ある程度内容を理解できると思います。
本校のモットーで学院章に刻まれたラテン語「SEQUIMINI ME(我に従え)」の箇所、マルコの福音書一章一七節には次のような解説がありました。「……『従った』という語は今日のことばで言う『いっしょに歩く』という意味であった。エノクが神とともに歩いたように(創世記五・二二)、イエスとともに歩くために、これらの漁師たちはすべての地上的期待を捨てた」。
アンデレとペテロがイエスの呼びかけにこたえて従った場面の解説です。ともすれば、私たちは各聖書箇所に先入観を持ちがちで、この箇所の場合、アンデレとペテロが「come on!」と呼びかけるイエスに導かれていくというイメージを抱くかもしれません。しかし、この解説に触れると、謙遜なイエスが、弟子たちと語り合いながらともに歩むという印象に変化するのではないでしょうか。
重ねて「ティンデル」で創世記五章二二節を調べると、「神との親密さ」もあわせてイメージすることができました。聖書を原語(ヘブル語、アラム語、ギリシャ語)で読めない私にとって、これは大きな発見でした。
聖書には、歴史的地理的背景を知っていることで理解が深まるたとえ話やメタファーに満ちた箇所があります。
「ちょっと難しいな」と感じるみことばに出会ったときに「ティンデル」を開いてみてはいかがでしょうか。みことばの解き明かしによって、「目からうろこのようなものが落ちる」体験ができることでしょう。