ライフ・ミュージック

盲目のシンガーソングライター、ジニー・オーエンズとNEWシングルの聴きどころ

　ジニー・オーエンズは1999年にロケッタウン・レコーズ（1996年にCCM界のトップスター、マイケル・Ｗ・スミスらが設立したクリスチャン・ミュージック・レーベル）から鮮烈なデビューを飾り、同年クリスチャンミュージック界のグラミー賞にあたるドーブ賞新人アーティスト賞を受賞した盲目のシンガーソングライター。聖書の言わんとしている真理を普遍的なことばでさらりと表現し、R＆Bから強く影響を受けたポップセンスあふれる曲作りで一躍CCM界の寵児となる。

　アーティストになるべくしてなったとも思える、その力量を感じさせる彼女は、２歳の頃からピアノの弾き語りをしていたほど音楽好きだったが、ちょうど同じ頃に視力を完全に失う。彼女の作った曲には試練をも益としてくださる神様をテーマにしているものが多い。「自分の中で嫌いな部分も神様はご自身の栄光のために用いようとされるんです」と、あるインタビューで彼女は語っている。

　ベスト・マキシ・シングル『ブルー・プリント』は前２作『ウィザウト・コンディション』『サムシング・モア』から彼女のお気に入り７曲に新曲１曲を加え、オリジナル版よりアコースティックなスタジオライブ録音で収録。アレンジによるごまかしが通用しないアコースティックサウンドが彼女の繊細で素朴な味わいを醸し出し、聴けば聴くほど深みが増す歌詞と絶妙にマッチしている。中でも 『I Am Nothing』という曲は「どんな素晴らしい行いをしたとしても、もし愛がないのなら何の値打ちもない」ことを淡々と歌い、『I Am』ではモーセ、少年ダビデ、イエスの母マリアの例話を用いて「私（神様）はあなたが思い描くことのできないほど大きな絵を描いている。世界に影響を与える大きなことをしようなんて思わなくていいから、ただ私を信頼しなさい」という内容。

　今回、ライフ・ミュージックから発売されている本作の対訳歌詞を読めば彼女がクリスチャン・ソングライターの詩人としても、素晴らしい才能を与えられていることを感じていただけるはずだ。

　彼女をまったく知らなかった方も、またはもうすでにはまっている人にもぜひ、聴いてほしい。そしてジニーが醸し出す音で、空気が透き通る瞬間を感じて欲しい。

　これからが本当の旬であることを予感させるに充分なマキシ・シングル。CCMファン待望の発売だ。

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