書評Books クレイジーともいえる新しい人生 を生み出すために

グレースシティチャーチ東京 牧師 福田真理

『クレイジーラブ』
フランシス・チャン 著
ダネィ・ヤンコスキー 協力
越野グレース 訳

四六判 1,400円+税
いのちのことば社

『クレイジー・ラブ』本書のタイトルは、私たちの心を引きつけます。だれもが愛を必要としていますし、クリスチャンであれば、神は御子イエスの十字架によって、クレイジーといえるほどの愛を私たちに注いでくださっていると知っているからです。使徒パウロも、クレイジーとさえいえるキリストの愛が私たちを取り囲んでいるので、私たちは気が狂っているとさえ書いています(Ⅱコリント5・13、14)。
本書の著者フランシス・チャンは、自分の信仰生活と牧師としての働きの中で、イエスに従う本当の意味を問い、自分のライフスタイルを真剣に見つめ直して実践してきた人です。実際に彼の生き方を見た周りの人たちは、彼が自分の持ち物を気前よく、必要としている人たちに与えてしまうので、「クレイジーだ!」と評したそうです。
しかし、彼の動機と原動力は、単に聖書の教えを道徳的に守ることにあるのではありません。本書の最初の三章において明らかにされているように、神の真実と愛と栄光に心を動かされて感謝し礼拝することこそが、この世から見ればクレイジーともいえる新しい人生を生み出す力なのです。
後半の七章は読者がクリスチャン生活を点検するために書かれています。信仰がなまぬるい人の特徴が取り上げられ、聖なる神に感謝をしているにもかかわらず、ほんの一部の残り物しか与えようとしない愛のない態度が明らかにされます。なぜ愛を示すことができないのか、私たちを妨げる原因についても取り扱われ、主イエスの愛に立ち返るように呼びかけられ、私たちが終末論的なパースペクティブをもって生きるように励ましてくれます。
イエスに魅了された人はどんな人なのでしょうか。本書をお読みください。消費至上主義が席巻する現代社会の真っただ中で、神の愛の福音に生きることを願い求めている人たちを励ましてくれることでしょう。