書評Books 健康に対する見方が変えられる一冊

大和カルバリーチャペル 副牧師 倉知 契

『つらいとき不安なとき立ち上がる力―健康より大切なものがある』
今中和人 著
新書判 1,200 円+税
いのちのことば社

著書の魅力は著者の魅力。本書を読んで、「この先生に担当医になってほしい!」と思うほど、優しいお人柄が細部にあふれていて、身構えずに心の診察をしていただいた気分です。
骨粗しょう症、胃腸障害、糖尿病、降圧薬とSTAP細胞など、ご専門の心臓血管以外にも、だれもが興味のある内容を図入りで解説してくださっていますが、それらの病気を通して、私たちの身体がどれほど精巧に造られているか目が開かれ、思わず病気を神様に感謝してしまうくらい、健康に対する見方が変えられます。医師として明快に進化論の過ちを指摘し、創造論に生きる祝福も語ります。また、医学の進歩を認めながら、だからといって医師にできることは限定的であると明言し、聖書の真理からけっしてブレない信仰こそ健康的な生き方であることが、本当によく分かります。
イエス様がなされた病者の癒やしは、眼科、婦人科、皮膚科、脳神経、熱病、整形外科などにわたり、現代医学でも絶望的な症状を瞬間的に癒やされていると、福音書を楽しく分析しつつ、中でも婦人科系の出血が十二年間止まらなかった女性に向けられたイエス様の眼差しに注目します。その女性への最後の一言、「達者でいなさい」(マルコ5・34節〔口語訳〕)に、今中医師は「しびれる」そうです。長年の難病の解放のみならず、今後の健康も気遣ってくださるキリストの愛。先生はこう書いています。「(私は)イェス様のように治してあげることはできないけれど、この温かい眼差しに倣いたい。『神の手』どころか、長時間かけてわずかな部分を治療するに過ぎないこの手にいのちを託してくれた患者さん、何時間もの手術や術後を乗り切って元気になってくれた患者さんの今後が健やかで平穏であるようにと願いながら、退院の日、『おめでとう、お元気で』と握手させていただくことにしています」(一三三頁)
本当にこの先生に診ていただきたくなりませんか。寄り添うようなタイトルと爽やかな装丁で、病床の方や未信者(未来信じる者)への贈呈にもお薦めいたします!