わがたましいよ 主をほめたたえよ! 7 賛美を通して若者が一つに
編集部
仙台駅から東北本線で約二十分。住民は二十代後半から三十代が多く、平均年齢三十八歳。宮城郡利府町は、東北の中心都市仙台のベッドタウンとして近年めざましい発展を遂げている。利府キリスト教会(日本バプテスト同盟)は、その地域性を反映し、若者の賛美のたえない教会だ。
昨今教会にも高齢化の波が押し寄せ、若年層の減少が叫ばれている。特に地方では若者が進学、就職を機に都市部に流出してしまう。こうした状況にあって五十、六十名の若者が集う賛美礼拝が、ほぼ定期的に行われているといえばちょっとした驚きではないだろうか。その中心的な役割を担っているのがブレッド・オブ・ライフ。キリストを信じ、聖書に立って熱く生きようとするクリスチャンで、音楽を通して神様のことを伝えていきたい、そんな思いをもつ若者たちのミニストリーだ。その代表を務めるのが同教会の松田牧人師である。
この賛美礼拝、プレイズアワー(以下PH)は毎月一回、日曜日の夜に行われている。松田師が毎週執筆するコラム「心のレストラン」はある月のPHの様子を次のように伝える。「なるべくご近所の方々のご迷惑にならないようにと、窓を閉め切って賛美したので、推定室温は三十七度。約五十五人の人々が酸欠(?)寸前になりながら高らかにイエス・キリストを賛美しました。手拍子をしながら体を動かし、ジャンプまでして力いっぱい神様を賛美することができ、『まるで三千年前のダビデの時代のようだ!』と感動してしまいました(実際にダビデの時代の様子を見たことはありませんが……)」。熱気に包まれた会場の様子、思い思いのスタイルで、思い切り賛美する若者たちの姿が思い浮かぶ。
このミニストリーの結成にはどのような経緯があるのだろうか。地域の教会の若者が自発的に集まり、共に賛美をするようになったが、彼らには自分たちのわかる言葉で賛美し、礼拝をしたいという願いがあった。それが発端だ。そこに、もっと教会から外に目を向けようとのビジョンをもつ松田師が加わり、同教会を母体として超教派のミニストリーとして立ち上げられたのは数年前のことである。
このPHの特徴の一つは歌われる賛美にあると言ってもいい。若者ならば元気のよいゴスペルソングだろうとは想像に難くないが、それだけではない。その多くが松田師の自作なのだ。午前の礼拝で会衆賛美として歌われた「心にふれて下さい」もそんな一曲。わかりやすい歌詞と親しみやすいメロディが印象的。初めて聞いたにもかかわらず、まるで昔からよく歌っていた賛美のように何気なく口ずさんでしまう。「ただ漠然と楽譜や楽器に向かうのではなくて、その賛美が祝され、賛美する会衆が神様と喜んでコミュニケートしている様子を思い浮かべながら曲を書いています」とのこと。
PHの最もすばらしい点、それは何と言ってもバプテスト同盟の教会のみなず、仙台エリアの福音派、他教派の教会の若者たちが一つとなって、様々な違いを乗り越えて共に主に賛美をささげているということだ。最近では、そうした姿に燃やされ、よい刺激を受けながら、自分の教会に戻り、すばらしい賛美の働きをしている若者も増えてきている。
若い世代の存在が目立つようだが、同教会は七十年という歴史を持つ教会でもある。新しい賛美に違和感を覚え、昔ながらの讃美歌の方が、という人ももちろんいる。伝統的な賛美をも神様は喜んでくださり、またそうした方々の存在は何よりも尊い。しかし松田師は言う。「この地域で、教会が福音を伝えていくためには、音楽が変えられていくこと、そして新しい賛美が必要なのではないでしょうか」。
目に見える活動の背後には、松田師をはじめミニストリーのスタッフのこのような福音宣教に対する熱い思い、そして祈りがある。
この日の午前中の礼拝では青年による特別賛美がなされた。そのはつらつとした元気な歌声と精一杯賛美する姿には魅了されずにはいられなかったが、その歌声が会堂の外にまで響くその様子に、やがて賛美を通して福音がこの地に伝えられていくことを、まるで象徴しているかのようにも思えた。