ビデオ 試写室◆ ビデオ評 59 『レフトビハインド』が映画に

『レフトビハインド』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

忽然と人々が姿を消した!

 全米で700万部を記録したベストセラー未来小説『レフトビハインド』。日本でも、すっかりはまっている人が随分いるようです。著者は、終末預言を研究しているティム・ラヘイと小説家のジェリー・ジェンキンズ。聖書映画は、大体過去の物語ですが、これは未来のお話です。
レイフォード
ハティ

 未来のある日、飛行機の乗客の半分が突然消え、機内はパニックに。それに乗り合わせたジャーナリストのバック(カーク・キャメロン)と、機長のレイフォード(ブラッド・ジョンソン)を中心に、物語が発展します。

 バックは、ロシアがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けてきた時起こった、不思議な事件を体験したことから、この二つの事件には共通の原因があるのか調査し始めます。

 一方、レイフォード機長が家に帰ってみると、妻と息子が消えていました。彼は娘のクローイと一緒に、最後に二人の通っていた教会へ行きます。そこで見たビデオによって、すべてを知ります。これはイエス・キリストの預言された事の成就だというのです。消失したその教会の牧師が残される人たちのために、3年前に収録したビデオでした。世界的な陰謀、そしてレイフォード、クローイ、バックと残された副牧師ブルースの求道。この二つのストーリーが平行して進んで行きます。

 私は、始めて再臨の教えを聞いたとき、自分は残されるのではないかと怖くなりました。しかし、この映画は、その「残されてしまった人たち」の戦いと希望の物語なのです。

パニクる乗客
レフトビハインド・ムービー

 これは一つの聖書の解釈をもとに作られたフィクションです。しかし、同時にこの作品は問いかけています。「もしかしたら、あなたの愛する人は、明日、この地上からいなくなっているかもしれない。」もしそう思ったら、今、どんなにその人を大切にすることでしょうか?レイフォードにとって、息子との最後の思い出は、誕生日のパーティをすっぽかしたこと、妻との最後の思い出となったのは夫婦喧嘩。そして客室乗務員のハティーとの不倫に心が痛みます。

 「私は生きる目的を見失っていた。もしできるなら、時間を戻してやり直したい!」妻の消失が、彼の中に悔い改めの心を生み、新しい生き方に押し出していきます。

 聖書の終末論はどこまでも、今の生き方を問い、今悔い改め、今戦い、今愛して生きることへの挑戦なのです。ただ一つ、注意が必要です。これによって国連への信頼をなくしたり、イスラエル政府を支持する必要はありません。私たちの行動の基準は預言ではなく、キリストの律法なのです。もしあなたが明日携挙されるとしたら、残る人たちにどんなメッセージを残したいですか?