CD Review ◆ CD評 『キッズ ミュージカル いちばんはじめのクリスマス』
櫻井 敬子
イムマヌエル大宮キリスト教会 教会学校教師
これから練習しても間に合う カラオケつきの親切なクリスマス劇
その日の朝は、焦りを感じていた。「トン、トン、トン」はもう何年も続いたし、「お星が光る」も、もう古典。幼稚園や教会のこども賛美歌に一通り目を通したあとの、「いちばんはじめのクリスマス」の講習会参加だった。もう、時間がない。今日は手ぶらで帰れないわ……。しかし、帰りの早稲田通りでの足取りは、実に軽やかなものとなっていたのを覚えている。
キリスト教視聴覚センターで行われたクリスマスミュージカル「いちばんはじめのクリスマス」の講習会は、すばらしかった。終わる頃には歌を口ずさみながら、どうアレンジしたら使えるかとすら考えはじめていた。プロジェクターで、もみの木保育園での実演の様子を見たあと、その曲の練習をして、参加者たちが実演した。そんなプロセスの中でイマジネーションが膨らんだのだと思う。
CDの曲のほとんどは、この保育園の園長でもある物井園長の手によるもの。「僕、楽譜が読めないんで」とサラリとおっしゃったが、型にはまらないメロディー、コード進行のうまさとノリの良さは、むしろオタマジャクシを操る以上の賜物と言っていい。
クリスマスなのに、なぜかトロピカルな匂いがする曲やパーカッションが印象的だが、なんと言っても「ヨイショ、ヨイショ」のかけ声で始まる「はたらけはたらけ」という歌が子供のこころを捉えるだろう。自教会でも小学生が喜び、クリスマス当日は観客にも歌ってもらい、飛び入り参加もしてもらうといった企画にした結果、大いに盛り上がった。
CDには、シンセサイザーのカラオケも付いていて、とても親切。これから練習するにしても十分間に合うはず。ただ、余裕のある人はぜひ、楽譜もご覧いただきたい。おそらく、物井園長のスタッフの方々が手掛けたのでしょう。とてもすてきなピアノアレンジに仕上がっている。 今年は曲の雰囲気によって使い分けようかと私自身は思っているが、いずれにせよ、このCDと楽譜のお陰でクルシミマスからは開放されそうだ。