時代を見る眼339 コロナ禍の賛美〔3〕歌いつつ歩まん
シンガーソングライター
岩渕まこと
夏前に自分のウィキペディアを見て驚きました。そこには私が日本のゴスペル歌手、そしてYouTuberとあったからです。YouTubeを始めて間もなく3年になりますが、まさか「YouTuber」と呼ばれるなんて思いもよりませんでした。
私のチャンネルは、「MAKOTO BOX」といいます。そこに「歌声PETRA reverse」という再生リストがあります。
「歌声ペトラ」とは、皆さんがよく歌ってくださっている「GOD BLESS YOU」が生まれたプロジェクトのことで、関根一夫牧師の詞に私が曲をつけて、毎月1曲ずつ発表してきました。当初は1000曲を目標にしていましたが、現在256曲で止まっています。
それらの256曲を紹介しようと始めたのが、「歌声PETRA reverse」です。どうしてreverseが付いているのかと言いますと、これまでも1番から順に紹介しようと試みましたが挫折してしまっているので、今度は逆順にやってみようと思い立ったからです。
最初の録音となった256番の「静けさの中で」は、2021年の秋にウクレレの弾き語りで収録しました。実は簡単に収録できると踏んでいたのですが、なんと聴くに堪えない、観るに堪えない収録しかできずに愕然としました。
なぜかと言いますと、コロナ禍でコンサートが激減していたからです。一定の間隔でコンサートをさせていただけていたこれまでは、特段トレーニングをしなくてもそれなりの演奏はできていましたが、油断大敵です。コロナ禍で、演奏に必要な胆力も身体も衰えていたのです。
そこでレコーディング方法を変えて、この秋になんとか100曲をクリアするところまできました。そして、レコーディングを繰り返し行う中で、コンサートに必要な胆力も身体も回復してきました。
これまではいつものようにしていれば大丈夫という、慣性の法則に乗っかってあぐらをかいていた音楽への態度を、コロナで改めさせられました。
賛美曲のひとつひとつ、歌えること、集えることの意味と感謝を、再確認しています。本来あたり前なんてないのに、あたり前にあぐらをかいてきた自分にさよならをしました。
コロナ禍で得た気づきを忘れずに、これからも「歌いつつ歩まん」です。