書評books 普段使いの宝石

日本福音キリスト教会連合・菅生キリスト教会牧師 中山信児

 

『揺るがない平安がここに 「世の光」「ライフ・ライン」バイブルメッセージ集』

太平洋放送協会(PBA)企画構成
B6判・104頁 定価330円(税込)
いのちのことば社

 

今年も「バイブルメッセージ集」に新しい一冊が加えられました。「まえがき」には「十名の牧師の宝石のような説教」と書かれています。収められている三十六編のバイブルメッセージを読み終えると、それぞれが本当に美しい宝石のようでした。ただ、ここにあるのは、高価で近寄りがたい輝きではなくて、さり気なく身につけられる普段使いの宝石のような親しさです。
説教はどれも見開き二ページ、四百字詰の原稿用紙なら三枚に収まる分量なので、ちょっとしたスキマ時間に読み終えることができます。内容は、聖書の教える救いについてストレートに語っているものから、クリスチャンの人生観や世界観に関わるもの、読む人の人生を豊かにする教えまで様々で、まるで色とりどりの宝石を収めた宝石箱のようです。
ところで、本書には今年三月、六十三歳の若さで惜しまれつつ天に召された岩井基雄牧師の説教が四編載っています。その最後の説教は「死を超えるいのちと、再会の希望に生かされて」というタイトルで、「大切な人との別れや葬儀は、私たちに大きな悲しみを与えます。しかし、聖書が語る神様を信頼するクリスチャンの葬儀には、悲しみを超えるいのちの輝き、希望があるのです」ということばで始まり、「死を超えるいのちと、再会の希望に生かされる歩みが、あなたにも用意されているのです」と結ばれていました(本書七四~七五頁)。
十人の牧師たちがテレビ・ラジオを通して語ってきたメッセージには語り手の人生が表れています。そして、それは聖書に記された神様の愛と救いのメッセージのエッセンスでもあります。
親しみやすく、分かりやすいだけでなく、聖書の大切なポイントをしっかり押さえたこのメッセージ集が、多くの人たちに読まれることを祈ります。本書は、神さまをまだ信じていないけれども心開いている人や、求めている人、キリスト教に関心を持っている人へのプレゼントにも最適です。