連載 リラ結成30年 いつまでも賛美をこの口に 第6回 土の器 佐々木めぐみ

LYRE(リラ)
1993年に東京基督教大学の神学生たちによって結成された賛美グループ。卒業後、コンサート活動をしながら、6人のメンバーは各々のところへ遣わされ、主のみわざに励んでいる。

 

リラと共に三十年を過ごし、気づけば五十歳を迎えた私の人生は、自分で言うのもなんですが、波瀾万丈で、ドラマチックな要素に満ちています。北の田舎の牧師家庭で育ち、両親がほぼ開拓したような形で始まった教会での生活は、私にとって数多くの困難と直面することを意味していました。幼い頃から、耐えること、そして待つことの大切さを身につけましたが、それは同時に、苦しみや困難、痛みに直面すると、ただひたすら我慢する、逃避する以外に手段がないということを意味していました。そうした中で育った私は、いつしか体からのSOSを無視できなくなり、長期の持病を抱えるようになりました。
病気を素直に受け入れることができず、病気の自分は他人より劣っていると感じることもありました。その結果、自分をありのまま愛することや、物事をポジティブに捉えることが難しくなりました。しかし、そんな時にリラと出会い、そして「土の器」という歌に出会い、人生が変わり始めました。外側だけを取り繕い、大丈夫と我慢して生きてきた私に、神様は優しく触れ、固い土の私を形づくってくださるというメッセージを与えてくれました。私の弱さ、罪深さ、プライド、育ってきた環境、そして病を、神様はありのまま受け入れてくださると感じました。そして神様は私のペースを理解して、優しくゆっくりと私を取り扱ってくださったのです。
自分を小さく汚れた土の器と認めた時から、すべてがスタートしました。ゆっくりとではありますが、一つ一つ自分を認め、神様に委ねると、心の内にもっとみことばに触れたいという渇きが起こり始めました。みことばを読まねばならない、から解放され、みことばこそが私の生活、人生に生きて働くことを改めて感じるようになりました。病で起き上がることができなくても、自分を責めるのではなく、そのままの姿で神様に歩みよればよいのだと気づかされました。恥ずかしい話ですが、今、いろいろなことを新しく学んでいる気分です。そうして聖書から示されたことを一つでも実行できた時に心に平安や喜びが湧いてきます。改めて、このシンプルな生き方が素晴らしいものだと実感しています。私は日々、神様の手の中で新しくされています。この変化を受け入れるには時間がかかりましたが、神様は私を待っておられました。今は持病も落ち着き、癒やしのプロセスを辿っています。感謝なことです。
私の人生はまだ未熟で途上にありますが、神様に委ねることで、少しずつ素敵なコーヒーカップくらいになれたらいいなと思っています。今日も「土の器」に励まされている一人です。

 

土の器
詞/曲  若林栄子
私たちは土の器
あなたの優しい御手で
つくられた
私たちは土の器
あなたの光を入れる器

どうか私が自分を誇らぬように
あなたに救われた喜びを
忘れぬように

私を形づくられた主よ
あなたのその光を
そのまことのことばを
まっすぐに輝かせるものと
してください

私たちは土の器
あなたの思いを込めて
つくられた
私たちは土の器
あなたの光で輝く器

どうか私が自分を嘆かぬように
あなたにつくられた
その意味を忘れぬように

私を形づくられた主よ
あなたのその光を
そのまことのことばを
まっすぐに輝かせるものと
してください
© Eiko Wakabayashi