書評books キリストの「心」を知る
豊洲コミュニティーチャーチ牧師 坂口誠太郎
『わたしは心が柔和でへりくだっているから
キリストの心をさぐる23章』
デイン・オートランド 著
糟谷恵司 訳
B6判・304頁 定価2,310円(税込)
いのちのことば社
キリストがご自分の「心」について語っている箇所は四福音書の中で一箇所しかないということを、皆さんはご存じでしたか。私は本書を通してそのことに気づかされました。今まで聖書全体からキリストについてさまざまなことを学んできましたが、その中でも一番大切なものの一つではないかと感じたことをこの一冊から学びました。それが、罪人に対してキリストが明かした「心」です。
キリストは、ご自分の心が「柔和でへりくだっている」と言われました。著者はこのことばが何を意味しているかを、聖書から、そしてその聖書のことばを深く理解した過去の教師たちの教えを引用して説き明かします。
私たちが罪を犯すとき、そしてその罪によって恥や罪悪感を感じているとき、あるいは、私たちの心が頑なに神のみことばを拒むとき、キリストは私たちに対してどのような思いを抱き、心の内で何を感じておられるでしょうか。みことばを通して本書が掲げたこの問いに対する答えは驚きで、私の本能的な答えとはかけ離れていました。それは、神が自分を愛してくださっていると頭では理解していても、もしかして神は少し不満げな目で私を見ているのではないかと心のどこかで感じてしまう、私の直感的なキリストのイメージを覆すものでした。
罪のただ中で打ちひしがれている私に両手を広げて、「わたしのもとに来なさい」と優しく語りかけてくださるイエス様。聖書が描くこのキリストの姿を、本書が再びはっきりと示してくれました。人間の想像をはるかに超えた愛とあわれみに満ちたキリストを再発見して、キリストの心を知り、私の目は何度も涙が溢れ、心が喜びと感謝で満たされました。主がこの一冊を通して与えてくださった恵みは大きなものでした。
罪悪感に悩まされている人、霊的に渇きを感じている人、キリストの優しさを疑ってしまい距離を感じている人、信仰生活に疲れを覚えている人、すなわち、私のようなごく普通のクリスチャンにとって常に必要な真理が綴られていて、何度も読み返したくなる一冊です。