書評books 「私の秋」を味わうために
霊的同伴者/翻訳者 中村佐知
『女性の秋を生きる二人の往復書簡』
豊田かな・大嶋裕香 著
B6判・128頁
定価1,320円(税込)
フォレストブックス
人生を四季にたとえると、五十代からが秋と言われます。女性の場合、ちょうど更年期が始まる頃と重なります。家族との関係においても、キャリアやミニストリーの面でも、さまざまな変化を通る季節かもしれません。その季節にはどんな恵みやチャレンジがあるのか、自分はその季節をどのように迎え、どのように生きたいのか……。それはこの年齢に差しかかるすべての女性が、意識的にも無意識のうちにも、心のどこかにもっている問いではないでしょうか。
本書ではまさにその秋のただ中におられる二人の女性が、往復書簡という形でそれぞれの秋の様子を語り合います。
お二人は自分を見つめ、そこに見いだしたことを率直に開示すると同時に、互いに問いかけを発し、それぞれの思い巡らしを深めることを促します。読者もまた、それらの問いかけを手がかりに、自分自身の「秋」について考えてみたくなるのではないでしょうか。中でも興味深かったのは、「小さい秋を見つける」ことや、「自分に新しい名前をつける」こと。これは、私も時間をとってゆっくり思い巡らしたいと思わされました(どういう意味なのかは、本書を開いてぜひご自身でご確認ください)。
また、実りの秋のイメージを具体的に見せてくれるのも本書の魅力だと思います。主が造ってくださった本来の自分自身の在り方への洞察や、親や夫、巣立ちつつある子どもとの関係の変化をどう受け止めるのか、この季節に手放すもの、受け入れるもの、新たに広げ、深めていきたいものへの洞察もあります。
著者たちの「秋」を自分の「秋」と比較する必要はありません。神様が導き入れてくださる「私の秋」に目を向け、それについて神様や信仰の友と語り合ってみてはどうでしょうか。本書をもとに、女性リトリートを企画するのもいいかもしれません。
なお、人気ポッドキャスト、「What The Pastors!!」(WTP)のパーソナリティである著者それぞれの夫君との往復書簡や座談会の様子も収録されており、WTPファンにとっても必読の書です。