特集 子どもたちに福音を 「子どもたちを、わたしのところに来させなさい」

町田中央教会 教育牧師 杉本 玲子

 

コロナ後、多くの教会で子どもの礼拝出席がゼロになりました。私が仕えている町田中央教会でも、子育て世代が教会から一時間以上離れている地域に住んでいて、日曜日に礼拝に集う子どもがゼロになりました。「近くの教会で礼拝を守って」と言いながら、子どものいない礼拝がどんなに寂しく、つらく感じられたでしょうか。しかし、主の憐れみによって、子どもたちも礼拝に出席するようになり、去年は教会員に五名の赤ちゃんが与えられました。振り返って、教会学校ゼロからのリ・スタートについてまとめてみたいと思います。

次世代への教育は最優先
主イエスは、一番大切な戒めは何かと尋ねられて、申命記六章四、五節を引用しながら、心を尽くして主を愛することであると教えられました。すぐあとには、親の生活のすべてを通して子どもたちにみことばを教えるように示されています(同6~9節)。神を愛することは、心の中だけの問題でなく、生活の中での次世代への教育と切り離せないということです。聖書の中に「教会」も「教会学校」も登場していなかった昔から、主は次世代の家族にみことばを教えるように命じられました。それは、ノア契約、アブラハム契約の中にも示され(創世9・9、17・7、 18・19)、詩篇七八篇一~七節にも示されています。
次世代への伝道をやめてしまったら、教会は教会としての意味を失います。今教会に子どもがいたとしても、いなかったとしても、次世代への伝道はすべての教会に与えられた使命です。仮に子どもがゼロになっても、キッズプログラムを閉じないことが大切です。教会学校でも、親子礼拝でも、乳幼児と保護者の親子カフェでも、どんな形、ネーミングでも構いません。ほとんどの教会では、子どもたちが成長して「幼児小学生ゼロ」になる時期が必ずあります。それでも、子ども伝道をやめてしまったら、教会の将来は見えなくなってしまいます。そこからは、祈りと信仰によって、地域への家族伝道へと向きを変えられるかが問われてきます。

ゼロからのリ・スタートにあたって
と言っても、ゼロからのリ・スタートは決して簡単ではありません。私たちの教会はキッズ伝道に使命を持っている兄姉に集まっていただき、意見を出し合いました。それぞれ多くの仕事や奉仕を抱えておられる兄姉ばかりで、話し合いの日程と意見を調整するのも大変でした。「親子礼拝」をどうしたら毎週継続できるか、祈り協力し合いながら知恵をしぼりました。
「月一回サンデーランチを提供」「子ども食堂で案内を渡す」「土曜キッズプログラムで案内」「地域の家族が参加しやすいように午後一時から」「毎礼拝後にクッキング、クラフト、英語ゲームなどのミニイベントを用意」「三か月分のちらしで告知」などのアイディアが与えられました。最初は子ども一人の時もありましたが、最近では、子どもと保護者、奉仕者を合わせて、十人を超えるようになりました。

教会学校だけに限定しない
次世代教育と言うと、教会学校(CS)をイメージする方が多いようです。でも、各家族の都合のつきやすい時間帯は違うので、キッズミニストリーの受け皿というか、扉の数は多ければ多いほどいいのです。町田中央教会では、「親子礼拝」「キッズ英会話クラス」「土曜体験教室(チャペルタイムを含む)」「子育て広場」「子ども食堂」「英語CS」を継続しています。不定期で、科学館などへの遠足や夏祭り、クリスマス、イースターのイベント、ハンドベル、英語キッズイベントも実施しています。
具体的なプログラムはどういう形でも、宣教を導いてくださる方は主なので、地域の特徴と与えられている賜物によって柔軟に考えることができます。初めてのご家族を誘うためには、食べ物系イベントが有効でしょう(アイスクリームパーティ等)。その他、「無料塾」「ピアノ/スポーツ/造形/習字教室」を実施している教会も知っています。

地域への継続的な案内
地域に知っていただくためにも、ご家族への案内を続けることが大切です。ホームページ、SNSなど様々な方法があるでしょう。保育園や児童館近く、公園前、小学校前など、紙のちらしを受け取ってもらえる場所も結構あります。ちらしにお買い物券をつけて、「ミニ駄菓子屋さん」を開いたり、抽選会を開くなど、祈っているとインスピレーションが与えられます。

次世代リーダーの育成
子ども伝道は子どもへの伝道で終わりません。祖母と母を通して信仰の一歩を踏み出したテモテは、やがてパウロを助ける伝道者として用いられました。教会に与えられているキッズやユース、CS教師の中には、将来の教会リーダー、教職者が必ずいるはずです。子どもを信仰に導き、ユース世代の信仰を育み、学生・青年世代をリーダーとして育成していくのは、教会全体に与えられている神のミッションです。教会リーダーの基本的な要件の中に、家庭を治めることも含まれています(Iテモテ3・4、12、テトス1・6)。家庭での信仰継承に関する学びも欠かせません。次世代リーダー育成の使命は教会全体に与えられています。

全員の微力を合わせて
皆が聖書を教えられるわけではありません。でも、音響、ちらしデザイン、お菓子や景品の買い出し、ちらし配り、SNSでの案内、クラフト準備、保護者との関わり、受付と会場作り、遊び担当……など、必要な奉仕はたくさんあります。全員の微力を合わせて教会全体で「わたしの子羊を飼いなさい」という主の召しに応えることができますように。