書評books 福音の世界へ連れて行ってくれる案内人
単立・木山キリスト教会教育主事 松尾 献
『見せよう イエスさまを 福音に生きる子どもたちを育む』
ジャック・クランペンハウワー 著
楠望 訳
四六判・368頁
定価2,530円(税込)
いのちのことば社
私が教会学校の教師を始めたのは大学生の頃です。何年もの間、手応えのないメッセージが続きました。
「今日も子どもはメッセージ中ソワソワしてたなぁ……」
「今日のみことばは子どもたちの日常生活に届いたんだろうか……」
「子どもたちはイエス様のことをもっと好きになっただろうか……」
自分が語ったメッセージに自信がありませんでした。道徳の授業のような形でメッセージを閉じてしまったこともありました。
そんな自分のメッセージが変わり始めたのは〈イエス・キリストの福音〉を理解し始めた頃からです。〈福音〉を語ると、子どもたちの顔は上がりました。メッセージの応答もたくさん生まれました。
本書を読み終えた時に「この本はまさに〈イエス・キリストの福音〉について教えてくれる本だ!」と思いました。あの大学時代の自分にオススメしたいほどです。
本書は、著者の教会学校の教師経験に基づいて書かれているので、まるで証しを聞いているかのようにスラスラ読めます。それでいて、内容は重厚です。健全な神学に裏打ちされた本書を通して、読者は深い福音理解に連れていかれることでしょう。そういう意味において本書は、教会学校教師以外の方にもオススメです。
「そもそも福音を語るってどういうこと?」「罪を語る必要ってあるの?」「旧約聖書から福音は語れるの?」「分級の時間をどう過ごしたらいいの?」……教会学校の教師なら誰もがぶつかるであろう本質的な問いから実際的な問いにも、本書は丁寧に答えてくれています。
本書を読み終えたら、読者の聖書の読み方が変わるでしょう。よく知っていると思っていた聖書箇所さえも、さらなる驚きをもって、イエス・キリストの福音が皆さんに迫ってくるでしょう。
何より子どもたちに福音を語るのが楽しみになってきます。本書は、良き知らせに溢れた良書です。