CD Review ◆ CD評 『Touching The Hearts ── 光の中へ ──』
ヨアンナ・スィラヴァン
ハーベスト・タイム アシスタント
その翌年の一月十七日、阪神・淡路大震災で祐理さんは弟さんを一瞬のうちに取り去られるという辛い体験をされました。「神様なぜ?」という問いかけを繰り返す中で、自分には理解できなくても、すべてを益と変えて下さる神様を信じて歩もうとする彼女の姿勢が痛いほど伝わってきました。
神様の摂理の中で最愛の弟さんを天に送るという試練を通り、その痛みをともに担って下さり、癒し続けて下さるイエス様の愛を体験したからこそ、主の救いのメッセージをさらに多くの人々に届けることができるようになったのではないかと思います。
そしてこの震災の復興のためにという深い祈りと願いをこめて制作されたのが、CD「Touching The Hearts」です。震災から十年を迎えるにあたり、再版されましたことを嬉しく思っています。一新されたジャケットを見て、当時から現在までの主の深い恵みと数々の祝福を振り返ることの出来る祐理さんの思いが、また新たに伝わってくるようでした。
「私も愛する弟を失い、悲しい別れを通りました。でもそれによって多くの方々と出会い、そして何よりも神様の愛の深さを知ることができました。神様の愛は尽きることがなく、本当の慰めと生きる勇気を与えてくれます」という祐理さんの熱い思いがこもった歌声。
世界で活躍するミュージシャンたちの素晴らしい演奏とアレンジメント。ラストには関東大震災を体験して作られたという「とおきくにや」も収録されています。どんなに地が揺れ動いても、燦然と輝く十字架のメッセージが多くの人の心に届き、喜びといのちの希望に満ちあふれるようになることを私も願って、このアルバムをお薦めいたします。