第4回 いのちのことば社絵本大賞 受賞作品紹介&講評
● 受賞作品・講評
大賞・優秀賞ともに該当作品なし 期待賞1作品
期待賞
『きかせて! クリスマスのおはなし』吉形あゆみ
● 総評
今回4回目となる絵本大賞ですが、24名28作品の応募がありました。2回目、3回目のチャレンジとなる応募者もおられ、絵本大賞を楽しみにしていてくださる皆様に心より感謝いたします。
作品のコンセプトをまとめた文章を添えて応募していただきましたが、作品に込められた思い、意気込みを受け止めつつ選考をすることができました。
今回の試みとして、絵本の対象年齢を大人に広げて設定できるようにしましたが、自然描写が美しい大人向けの書画絵本や、病気の子どもを持つ親の思いを描いた作品など、今までにないジャンルやテーマの作品も集まり、絵本の持つ可能性を改めて感じました。
今回は残念ながら大賞・優秀賞に届く作品はなく、期待賞として1作品を選ばせていただきました。ご応募くださったお一人お一人に心より感謝を申し上げます。
選からはもれましたが、イエスのたとえ話に登場する「99匹の羊」を「心配されない良い子」に見立て、見過ごされる子どもの寂しさと神の愛をコミカルに描いた「ぼくはいい子ちゃうわ」(つかもとひろき作)は、着眼点と表現の面白さで注目されました。また、〇と×の形を身近なところで探しながら、傷をおおうイエスの十字架を見つけていく「まるくんとばつくん」(まるいころ作)は、子どもに伝わる明快さがあり、味のある絵の魅力もあいまって、心に残る作品でした。また、絵の完成度の高さでは、「青い崖のお家のブルー」(デービッドソン優 絵・馬場良子文)が秀逸でした。
『きかせて! クリスマスのおはなし』吉形あゆみ (テーマ:クリスマス 対象:年長~小学生中学年)
クリスマスを指折り数えるわくわく感に満ちたクリスマス絵本です。「きかせて! クリスマスのおはなし」と子どもたちにせがまれたママがお話を始めます。温かく明るい絵とともに語られるイエス・キリストの降誕の物語には、途中、迷路やクイズも盛り込まれています。子どもが楽しめるような工夫が随所になされており、クリスチャンの家庭だけでなく、聖書を知らない親子でも楽しめるような、親しみやすい絵本に仕上がっています。ママがお話を終えた後「それからどうなるの?」「もっと、きかせて! イエスさまのおはなし」と、クリスマスのその後が語られ、私たちとクリスマスのつながりまでをわかりやすく伝えているところが素晴らしく、「楽しみながら福音が伝わるように」という作者の伝道への思いが作品に結実しています。絵と文章のバランスを考えて、文章を量、内容ともにシンプルにするとより良くなると感じました。
企画・主催:いのちのことば社 出版部