リトル・セルゲイとチームの証し

　数年前のことです。リトル・セルゲイは家族と車で出掛けた時に事故に遭いました。誰も深刻なけがを負うことはありませんでしたが、リトル・セルゲイは入院を余儀なくされました。短い期間の入院でしたが、その間に彼は3人の女性を主に導きました。それは、彼が神様のことを話したくてしかたがなくて、その女性たちに伝道した結果でした。
　リトル・セルゲイのチームは、いつもこのような働きをしています。彼らの目は輝いています。最近では、こんなことがありました。開拓宣教者のユラは、アウトリーチに行く途中でヒッチハイクをしました。乗せてくれた車を運転する女性は、麻薬のディーラーでした。彼女の夫は受刑中で刑務所におり、子どもたちは彼女の手から離されてしまっている状況でした。ユラは彼女に福音を伝え、トラクトを渡し、共に祈りました。
　その翌月、福音はこの女性の人生を変えました。彼女は、子どもたちを自分の手元に置くことができるようになりました。彼女の夫は刑期を終えて出所すると、彼女を救った神に従いたいと願いました。彼を訪ねた保護観察官は、そのあまりの変化にあぜんとしました。やがて、この夫婦は家でクライスト・グループ（決心者、求道者の集まり）を始め、今も継続しています。
　イエスに従うのはいつも、“ならず者”と呼ばれる人たちでした。彼らは、性格の特性や共通の関心事ではなく、イエス様の愛による救いによってつながっていました。イエス様が地上で宣教されていた時、イエス様についていったのは、かつて売春をしていた人、税の取り立てをしていた役人、悪霊に取りつかれた人たちでした。今、私たちの時代では、イエスに従う群衆に、依存症の人たち、ウォール街の銀行家たち、宗教的な人たち、精神的な病をもった人たちが含まれるといえるかもしれません。この人たちは、ロシアの宣教チームの多くのメンバーによく似ています。そして、ロシアのチームはイエスへの情熱と失われた人たちへの愛によってつながっているのです。
　リトル・セルゲイにロシアへの思いを尋ねた時、彼は人数や数値のことではなく、通勤時のことについて語りました。「バスに乗って人々を見渡すと、目に入るのは、忙しい生活を送っている人ばかりです。彼らは人生を見失っているのです。私はその人たちへの情熱でいっぱいです。私はこの人々の中で、光となりたいのです」と。

「ティーンチャレンジ」との協力

　ロシアでは薬物依存や自殺が蔓延しています。開拓宣教チームが各家庭を訪問すると、イエス様に人生を明け渡したあとで、より一層のサポートを必要としている人にしばしば出会います。

　「ティーンチャレンジ」は1960年にデイヴィッド・ウィルカーソン氏により設立された、薬物乱用や自傷行為と戦っている人たちをサポートする世界的な組織です。多くのEHCスタッフが「ティーンチャレンジ」を通して自由を見いだし、他の人たちにも同じ経験をしてほしいと願っています。

　私たちと「ティーンチャレンジ」が協力することは、量り知れないほど価値あることなのです。

　EHCロシアは、数百人の人々が癒やしと自由を見いだすために、毎年、「ティーンチャレンジ」と協力しています。

ビッグ・セルゲイの証し

　リトル・セルゲイに続き、年長のビッグ・セルゲイも同様です。気温が零下20度を超える冬、シベリア地区のブリヤートによく旅をします。凍った川を渡り、村の外れまでトラクト配布に出掛けるのです。それはなぜでしょうか。彼が人々を愛しているからです。今まで神様の愛に応答する多くの人たちを見てきたからです。

　「訪問すると玄関を開けて中に入れてくれます。テーブルを用意し、時にはチームを泊めてくれるのです」　ロシアのEHCチームは福音を携えて、村から村へ、ロシアの各家庭にトラクトを配布しています。それは彼ら自身の愛からです。人々から認められないとしても彼らは続けます。彼らがイエス様を体験し、どんなことがあってもその真理を伝えたいという思いは、彼らの目の中に表れています。福音を携えていく一人一人の目にその真理があるのです。

　この特質は、私がここ、シベリアで見てきたことにかぎりません。皆様の目も輝いていることを願います。世界のどこででもクリスチャンの一人一人が福音を地の果てまで伝えようと立ち上がっています。そしてこのことは、オイコス計画がただの魅力的な空想ではないという希望を与えてくれるのです。イエス様の愛、真理で輝く目がある限り。

【EHCロシア】

・現在のEHCの事務所数：４
・人口：1億4,200万
・世帯数：4,900万
・2018年度に配布した世帯：1,592万2,329
・2018年度の応答数：24万4,685
・オイコス完成までの総費用見積り：1,600万ドル以上

（国際EHC機関紙 2019年冬号より）