小さな教会
柳川 茂(絵本作家・脚本家)
河井ノア
「神にあって 私はみことばをほめたたえます」(詩篇56:10)。のどか森に住むこぐまのリトル・ジョイは、子どもたちに聖書のことばを届けるお仕事をしています。絵本の中から、カレンダーの中から、幼稚園や保育園の出席ノート「おはようブック」の中から元気いっぱいにみことばを伝えています。物語の中のジョイは、5、6歳の男の子の設定ですが、実はもう36歳。羨ましいことに全然年を取りません。出産前の大きなおなかの上にスケッチブックを置いて、ジョイの絵本を描いていたのが昨日のことのようです。
神様を伝えること、みことばを届けることは本当に大切なことです。だって、私たちは何もしていないのに先にご褒美を、かけがえのないイエス様を頂いているのですから―。以前、一緒にお仕事をさせていただいたSさんの小さな教会を紹介します。Sさんは重い病を患いました。医師の宣告もイエス様と手をつないで聞いたそうです。入院先の病院では、部屋で食事をとらず、壁を伝って食道へ行き、同じテーブルの人たちに「神様を知っていますか? イエス様を知っていますか?」と話しかけ、祈り、歌って食堂を小さな教会にしたそうです。
今、夫の柳川茂と新作の絵本の制作中です。絵本を通して、私たちの小さな教会を作れたらいいな、と祈っています。
柳川 茂
私と、妻の河井ノアが聖書のみことばを伝えるために初めて作った絵本『ファーマーさんはみすてない』(いのちのことば社刊)の扉に「マデリン・ピットリーに感謝をこめて」という謝辞を載せました。マデリンは河井ノアと息子をキリスト教に導いた宣教師でした。二人はマデリンによって多摩川で洗礼を受けました。その時、私も「カモーン!」と呼ばれたのですが、生意気にもまだキリスト教について納得していない部分があったので、手で×印を作ってしまいました。その後、マデリンは私のために聖書の勉強会を開き、重箱の隅をつつくような質問にも愛をもって答えてくれましたが、受洗の決意はつきませんでした。
マデリンは数年間、日本で宣教していましたが、体調を壊してアメリカに帰られました。私がやっと受洗へと進んだのは数年後のことでした。もう一度会って受洗の報告をしたいと思っていた矢先、マデリンの訃報が届きました。大きなまん丸の体で力いっぱいのハグ。“I love you”を連発するその声、その温もり…。今、私と河井ノアは「ファーマーさんシリーズ三部作」の最後の作品に取りかかっています。扉にはこう謝辞を載せるつもりです。「天のマデリン・ピットリーに感謝をこめて」