福音点字情報センター便り

点字は、私の大切な文字

福音点字情報センター協力委員 矢板ホーリネス教会牧師
田中敏信

みなさん、こんにちは。栃木県矢板市でホーリネス教会の牧師をしております、田中敏信です。中学1年の時に網膜剥離で失明し、20代半ばでクリスチャンになり、30代半ばで牧師になりました。

失明した時から点字を使っています。点字の教科書を指でなぞって読み、「点字板」という器具で点字のノートを書いて勉強しました。その時から、点字は私にとって、最も大切な文字になりました。

私が牧師になる勉強を始めたのは、今から三十数年前です。パソコンが普及し始め、目が見えない私たちのための、パソコンの画面を読み上げるソフトも開発されました。私は卒業論文を書くために、パソコンを手に入れました。当時、点訳や音声化された神学書はあまりありませんでした。それで、妻に参考書を読んでもらい、録音し、点字でノートを作りました。それから、パソコンのキーボードをたたいて論文を入力。漢字は、音声で読み上げられる変換候補を選び確定。どうにか締め切りまでに提出し、卒業しました。

それから10年くらいたつと、パソコンにつないだイメージスキャナを使って、印刷した文書を読み上げるソフトが発売されました。早速購入。信仰書も神学書も、ページを開いて、スキャナの上に置いてエンターキー。5秒くらいでパソコンが読み上げ始めます。時々おかしな読み方をします。「夫のお父様? あっ、天のお父様か!」また、王様を玉様と間違えたり…。これは、聞く私のほうで、耳の中で入れ替えます。それにしても、本をどんどん読むことができるのはうれしいです。読み上げを聞いていて、眠くなってうとうと…。あっ、いつの間にか読み上げが終わっていた! 妻のように「ねえ、聞いてる?」なんて、パソコンは起こしてくれません。

こうして読んだ本をまとめたノートは、やはり点字。讃美歌も聖書も点字。目で文字を追うように、指で文字を追って、初めて自分のものになるのです。もちろん礼拝説教の原稿も点字です。点字板を使って、1枚ずつ手書き? いいえ。ここにも最新技術の助けがあります。点字を入力するための20個余りのキーと、点字の形を浮き出させるディスプレイが一体になった機器。入力した点字の形に、小さなピンが電磁石の力で浮き出て、指で触れて確認できるのです。大きさは、A5の本を横向きに置いて、少し長くしたくらい、3㎝くらいの厚さです。1行に、点字が40字。これで説教原稿を用意します。文字や単語を加えたり削除したりして、説教の点字データが完成。

実は、この原稿を書く少し前、翌日の礼拝の説教原稿を書き終えました。これから点字プリンタで印刷です。先ほどの点字機器を点字プリンタにつなぎ、印刷を実行。ダダダダダーダッダッダダダと、10分くらいで35枚の点字原稿が出てきます。さあ、明日は日曜日です。

新刊点字図書、図書データ(BES版)案内

『種を蒔く人になりなさい』
樋野興夫 著 全2巻 1300円

『打ち捨てられた者の「憲法」』
齊藤小百合 著 全1巻 900円

『キリスト者から見る〈天皇の代替わり〉』
「教会と政治」フォーラム 編 全2巻 1400円

『だから、こう祈りなさい』
鞭木由行 著 全2巻 1300円

『つらいとき不安なとき立ち上がる力』
今中和人 著 全2巻 1200円

『人生―人として生まれ、人として生きる』
柏木哲夫 著 全1巻 1200円

会計報告 2019年7月1日~2020年4月30日

■収入の部

献金 4,549,524
点字文書頒布収入 246,425
合計 4,795,949

■支出の部

印刷費 1,176,121
頒布活動費 2,805,543
事務局費 29,758
合計 4,011,422
当期繰越 784,527