2021年1月、オアシスお茶の水店がオープン!
主に期待して、逆風と試練の中での船出
嵐の中にあるキリスト教専門店
今年1月5日、お茶の水クリスチャン・センターの2階にオアシスお茶の水店がオープンした。昨年12月、都内の教会にそのことが知らされると、「あれ? あそこはCLCのお店じゃなかったの」「新宿のオアシスはどうなってしまうの?」と戸惑いの声が起こった。今も、お店が変わったことを知らないで来店されるお客様も多いようである。
この事情を知っていただくには、キリスト教専門書店の状況をお伝えする必要がある。キリスト教書店の現状は、一言で言って、もはや不振とか低迷という表現は当たらないかもしれない。文書伝道、中でも書店の働きは大嵐の中に置かれている。20年以上前からキリスト教会の教勢低下、さらに活字離れ、本離れが重なって、苦戦が続いてきた。かつて1980年090年代には全国に大小約120のキリスト教専門書店があったといわれるが、今はその半数程度。いのちのことば社直営店(ライフセンター、オアシス)も20店(1985年)から現在は10店となっている。その間、閉店・再編がじわじわ広がってきていたのが、昨年来のコロナ禍で一挙に地殻変動が加速した。
いのちのことば社にとって長い間の同労者であり、時にはライバルでもあったCLC(クリスチャン文書伝道団)が昨年暮れに解散となり、傘下の6つの書店は事業譲渡されたり、個人経営に変わったりした。CLCは世界福音伝道団の文書伝道部として発足し、1950年から全国でキリスト教書店運営を担ってきた70年の歴史をもつ。しかし、「出版不況に加え、新型コロナウイルスなどの影響から、働きを継続することは困難であると判断した」(中野覚団長)という発表があった。そして話し合いの結果、CLCお茶の水店と名古屋店がいのちのことば社に事業譲渡された。そこでいのちのことば社は、オアシス新宿西口店をお茶の水クリスチャン・センターに移転し、「オアシスお茶の水店」が誕生したのである。
新たな時代への転換期に
三上右子店長はキリスト教図書の営業を10年ほど経験した後、いのちのことば社の働きに加わり、今回お茶の水店に遣わされた。昨年暮れにいろいろなことが決まって正月明けにはオープンと、慌ただしい準備だったが、多くの仲間が手伝ってくれたので開店にこぎつけられたという。1月7日には緊急事態宣言が出て、オープン早々時間短縮(11時018時)の対応をする中で感じることは、「コロナウイルスという目に見えない脅威に対して、人によって捉え方がずいぶん違うということですね。意識が非常に高い人もいれば、全然気にしない人もいる。やはりコロナ関連の本は一定数動いています。聖書的にどう考えたらよいかとか、キリスト教の立場とか、関心をもたれるのでしょう」。お店を将来的にどのようにしたいとの夢は? 「ちょっと前だったら、何とかして人が集まる企画を考えるところだったのでしょうが、今は違うかなと。正直、将来像というより、どのようにして生き残るかということです。今思うと、三浦綾子さんとか遠藤周作さんとか、クリスチャンの国民的作家がいらした時代は、実に幸福な時代だったという気がしますね。『この人の本だったら読んでみよう』と思ってくださる方が多かったように思います」
彼女がインタビューの最後に語ったことばが印象的だった。
「時代がどんなに変わっても、『みことばを求める』ことは変わらない。みことばを求めることに対して諦めないというのが大切だと思います。今は、目に見える成功体験はないかもしれないけど、だからこそ、みことばに向き合うことが必要です。この世的な成功とは別次元での良いものを求めていく、ヒントを与えてくれる、そのような文書を提供していけたらいいですね」
センターの同じ場所に長くキリスト教書店があった、その恵みは測り知れないほど大きい。飢え渇きの時代のあと、主が来らせてくださる新しい時代に、このお店が真に霊的な祝福を発していくところになってほしい。
★オアシスお茶の水店 JR御茶ノ水駅 お茶の水橋口駅交差 点を交番側に渡って、左方向に徒歩2分 TEL 03-6855-8811