700人以上の思い結集し聖書を概観する本を制作

宇賀飛翔OneHope Japanディレクター

私は高校生の時に聖書に出合いました。聖書は読むのが簡単ではないですが、それでも聖書を通して私の人生は変わりました。そしてクリスチャンになると、自分が経験したように、聖書を通して神に出会うチャンスを、日本のすべての人に届けたい、そう思うようになりました。
大学卒業後、神学校と短い社会人生活を経て、OneHopeという宣教団体に導かれました。OneHopeを通して、特に子どもと青年に主のみことばを届けるというビジョンが与えられ、世界にはいろいろな福音伝道の働きがあると学びました。そんな中、約5年前に私の目に留まったのがBibleProject (旧:The Bible Project)というYouTubeチャンネルでした。聖書のエッセンスを、わかりやすいナレーションと高品質なアニメーションを使い、10分以内のビデオで紹介しているもので、私としては、夢のようなクオリティーの聖書動画でした。これをどうにかして日本語にしたいと思い、祈っていくうちに主は応えてくださり、非常に優秀な仲間を与えてくださって、2019年12月から日本語版の動画の公開を始めました。
このYouTubeチャンネルにはいくつかのシリーズがあるのですが、その中で最大のシリーズは「概観シリーズ」で、聖書の各書の構造とテーマを紹介し、73本のビデオで聖書66巻を網羅しています。各動画の最後にはその書をまとめる一つの緻密なイラストが完成します。
2021年春頃、動画を作り続けてきて、いよいよ9月に完成する見込みが立ってきました。その時、私に一つの思いが与えられました。それは、概観シリーズのイラストを元に本を作りたい、という思いです。そして、祈っているうちに「この本を作らなくては!」という強い思いに変わっていきました。ただ、ここで問題がありました。一つは印刷資金がないこと、もう一つはこのBibleProjectの素材は「オープンソース」というポリシーのため、本を作っても販売はできないということでした。このような制約の中で主は道を与えてくださいました。それは多くの支援者に呼び掛けて資金調達をする「クラウドファンディング」です。私自身あまり経験はありませんでしたが、この本を作るための支援者を募り、そのお礼(リターン)として本を差し上げるという計画を考え始め、2021年6月から1か月間、クラウドファンディングをすることになりました。
その期間中は非常にドキドキし、果たして目標額を達成できるのか、達成しなかったらどうしようと悩まされていました。しかし、支援は想像をはるかに超えるくらい与えられました。そして、終わってみると、721名が支援してくださり、その資金をもとに『聖書プロジェクトBOOK』が生まれ、なんと3,300部を印刷できました。これらの本は支援者にお礼として差し上げたり、ミッションスクールなどに贈呈することになりました。印刷所から届いた本を手に取ってみて、あらゆる主の奇跡が詰まっていると感じました。この本は今までの動画制作の集大成でありますが、同時にクラウドファンディングを通して与えられた721名の仲間の思いの結晶でもあり、私の一生の宝物になるでしょう。