会社より教会を優先して左遷 しかし奇跡的な経緯で要職へ

中島 總一郎 いのちのことば宣教団 理事

私は父の事業倒産によって、中学生の頃から大学を卒業するまで、経済的困窮の中にありました。三畳一間しかないバラック小屋に親子7人の生活。中学生の時には学校で使う教科書はなく、新聞配達をして家計を助けました。高校生の時は、勉強したくても時間も場所もなく、1年生の時から家庭教師をし、もらった色褪せた短い学生服で通しました。
大学生の時は居住場所も食もなく、家庭教師先に居候させてもらいました。大学で使うテキストはわら半紙に書き写して作ったり、夏・冬休みは少しでも金になるアルバイトに精を出したりしました。
そんな中で、図書館にあったカール・ヒルティの『眠られぬ夜のために』や『幸福論』を読んだことから、聖書を買うに至りました。そして伝道会や祈祷会に出席するようになり、救いの知識や教えの導きを受け、教会の小さな部屋で1人で祈っている時に、エペソ書1章のみことばによって信仰原体験をし、神の声を聞いてキリスト・イエスを信じ、生涯をゆだねる信仰へと導かれました。
社会人になって、私は仕事とともに信仰生活も重視しました。そのような私に主は報いてくださり、職位や年齢に関係なく、全社的管理や経営改革を推し進める責任のある立場を任されるようになりました。
ところが私が新任取締役になった時のことです。現在は東証スタンダード上場された会社の創業社長から「教会をとるのか、会社をとるのか」と二者択一を迫られました。教会をとる行動に出たところ、全ての仕事を取り上げられ、閑職へと追いやられました。何か月間も耐え、社長が神様から罰せられないように祈りつつ、ひたすら主による解決を待ちました。
8か月後に、社長自らが自分の机の引き出しから出てきた古い社内報を見つけ、そこに書いてある20年前の私の証詞とⅠコリント13章のみことばを目にしました。私が若い頃から信仰を基盤に働いてきたことが明確になっていました。これによって私は復権し、より大きく重い、地方や海外にある子会社を含め、管理や指導をする全社的な仕事を任されることになり、2つの子会社の社長も任命されました。私に奇跡が起こったと考えざるをえませんでした。
退職後は、お茶の水聖書学院で聖書を学び、同学院での後進の育成や執筆による伝道活動を続けてきました。私の著書を読んでくださった方から「励まされた」「教えられた」と感想を頂くことが大きな喜びです。