戦争の中での、私たちの使命とは? EHC国際総裁 タナー・ピークからの緊急メッセージ
ウクライナに戦争が勃発してすでに一年以上がたちます。世界はこの危機に手を差し伸べ、何百万人という難民や戦地にとらわれの身となった人々の必要に応えるべく資源を注ぎ込んできました。
EHCチームは難民をバスで戦地から運び出し、帰路には食料や人道支援物資を積んで再び戦地へとバスを走らせたのでした。これが何週間も、何か月も続いたのです。ウクライナを取り巻く国々のEHCチームも、最も必要とする人々にキリストを届けてきました。多くの人々はイエス様に希望を見いだし、クリスチャンはイエス様の愛と真理の証人となっています。EHCユーラシア東部エリアディレクターのアンドレイは次のように語ってくれました。
「数万人もの人々が食料を受け取りました。数十万人もの人々が福音を受け取りました。そして、さらに何千万人もの人々が福音を受け取る準備ができています。今、ウクライナはかつてないほど、福音に開かれています。ロシアでも、何百万人もの人々がキリストを必要としています。しかし、多くの宣教師や伝道団体はこの国から撤退しています。私たちが、このロシアから離れないことが大切なのです。神様は彼らのことも愛しておられるからです」
私たちは誰も置き去りにしません。そのために、私たちはあなたの助けを必要としています。ウクライナ、ロシア、そしてユーラシア大陸のすべての人々が、イエスの癒やしと希望に出合う機会を得ることができるように、私たちと一緒に祈り、活動を共にしましょう!
生を与えられたところ
少数民族に生まれ、自分とは異なる支配的な文化のなかで生活していること、肌の色や民族的な背景のせいで、社会で活躍するための機会が与えられないことを想像してみてください。あるいは、重い障害をもって生まれたことによって自分の意思とは関係なく、物理的に社会に溶け込むことができない。それどころか、生まれた場所によっては、生きる権利すら与えられないかもしれません。私たちの人としてのアイデンティティーは、生まれた時間と場所によって大きく左右されます。私たちはみな、同じように生まれてくるわけではなく、私たちが何者であるかということの多くは、単に受け継がれたものなのです。
私は長い間、この現実に悩まされてきました。私は、最も豊かな社会の一つで、白人男性として生まれました。戦争に巻き込まれたことも、性別によって社会から排除されたことも、宗教的な理由で機会を失ったこともありません。私のこの青いパスポートは、私が知ることのできないほど多くの特権を与えてくれました。しかし、その特権を得るために、私は何もしていないのです。
このような背景から、私はEHCの世界的な活動であるオイコス計画を2019年に立ち上げたのです。キリストを知ることは一部の人の特権であってはならない、全人類の基本的な権利であるべきだと固く信じています。すべての国で、すべての世代で、すべての人がイエス様のことを知る資格があるのです。オイコス計画は、それを実現するための私たちの誓約なのです。
今、ウクライナでは子どもたちが薄暗い病院で、そして戦争という国家的な危機のなかで生まれています。彼らはまだ長距離ミサイルのことや、向こう側にいる敵のことを知りません。この無垢な子どもたちは、燃え盛る瓦礫の匂いを嗅ぐかもしれませんが、空を埋め尽くす煙の柱を見ることはまだありません。自分たちの意思とは関係なく、彼らのいのちはこの地に根ざしているのです。同じように、国境の向こう側のロシアの病院でも、愛する両親のもとで子どもたちが生まれています。彼らもまた、戦争のなかで人生がスタートするのです。
私たちの生まれたところ
戦争のなかにいる仲間と過ごした時間や、涙を流しながら抱き合うリーダーたちのことを振り返ると、この戦争が、これらの国々に住むすべての人の心の純真さを蹂躙していることに、深い憤りを感じます。戦争は、私たちのアイデンティティーである出生地というコントロールできない事実によって、 隣人に対して残忍な行為を要求するのです。
ロシアから来た宣教パートナーのことを思い出します。彼はロシアの田舎に住む少数民族が真っ先に徴兵されたことを教えてくれました。彼らは家から連れ出され、会ったこともない、敵対する理由もない人々を殺すよう強制されたのです。それはなぜか? 少数民族である彼らはロシア政府にとって使い捨ての存在だったからです。
人々はみな、受け入れがたい残忍さに包まれています。しかし、クリスチャンとしての私たちの使命は、この狂乱に立ち向かい、すべてを超えた愛を宣言することです。私たちは、いつ、どこで、誰のもとに生まれたかにかかわらず、すべての人が神様の似姿として造られたものであることを知っています。人としての尊厳、価値を尊重し、彼ら一人ひとりにキリストを届けることが私たちの使命です。
私たちもまた、自分の力ではコントロールできない、時・場所・状況で生まれました。私たちが神様から与えられている賜物を用いて、すべての人がイエス様の希望を知る機会を得られるようにすることができます。私たちは、自分が置かれた場所からしか人を愛することができません。また、私たちに与えられた目と心でしか見ることはできません。しかし、私たちは、近くにいる人たちにも、遠くにいる人たちにも、その状況を理解したうえで、思いやりやあわれみを届けることをができるのです。この地球上のすべての魂に対するキリストの愛を理解し、自分自身の考えを越え、はるかに大きな働きをされる神様の力に期待しましょう。
私たちはみな、この世に生を与えられました。それは互いに帰属していることを意味します。私たちには、キリストの愛を届ける責任があります。そして今、それをもっと実行するときなのです。
(国際EHCニュースレター2023年5月号より)
※日本でもオイコス計画を通して福音を届ける働きをしています。