旬人彩人

信仰と創作の緊密度の中で 良い作品が生まれる
小説家
鈴木結生さん
2025年1月、『ゲーテはすべてを言った』(朝日新聞出版)で第172回芥川賞を受賞した福岡市、西南学院大学大学院の鈴木結生さん。今回の受賞作をはじめ、彼の著す各作品には、西洋文学の深い読書経験が生かされている。その土台にあるのは、幼少から親しむ聖書によって養われた世界観、信仰。鈴木さんが集う教会を訪ね、話を聞くと、幼い頃から育まれた文学と聖書への思いがあふれ出た。

一人一人の利用者の選択肢が広がる福祉施設を目指して
NPO法人「ノーマライゼーション高槻」代表理事
豊田真一さん
大阪府高槻市にある、知的障がい者が通う小規模な通所福祉施設コルメナは、現在も代表を務める豊田真一さんが15年前に立ち上げた施設。
決して大きな施設にはせず、利用者一人一人に選択肢を提供し、丁寧に向き合うことを目指し続けているという。福祉とは縁遠い世界で生きていた豊田さんを引きつけた「楽しさ」とは?

日常に満ちあふれる神の愛に目を注ぎ、支えられて
ゴズペルシンガー
レーナ・マリアさん
美しい歌声で人々を魅了するゴスペルシンガー、レーナ・マリアさん。生まれつき重度の障害を負うも、それを感じさせないアクティブな生き方が、世界に感銘を与え続けている。日本で初めてコンサートを行ったのは1992年。以降、毎年のように来日し、10年後には全都道府県での公演を達成。その後も多くの人に愛と勇気、希望を届けてきた。ここ数年は新型コロナウイルスのパンデミックによりその活動が制限されたが、今年の春、ようやく7年ぶりの来日ツアーを実現。全5都市で、変わることのない希望を歌い上げるレーナさんの姿がそこにはあった。

「本来の自分を取り戻す」働きに携わって
理学療法士、靴工房Hyggelig(ヒュケリ)オーナー
荻野敦子さん おぎの・あつこ
理学療法士として働くうち、体の仕組みや体が本来もつ力の奥深さを実感。中でも、履物を変えることで履く者の動きに良い影響を与えたり、慢性的な痛みを緩和できたりすることに関心をもち、靴を通じて体を整える働きや啓発がしたいと靴工房をオープンした。本来の体を取り戻す働きは、信仰において「本来の自分に戻る」体験と重なる面がある。